安倍晋三元首相銃撃事件で殺人罪などの罪に問われている山上徹也被告(45)の第8回公判が18日、奈良地裁で開かれた。前回に引き続き母親の証人尋問が行われ、事件の原因について「私が加害者だと思う」と証言した。母親の証言が裁判にどう影響するのか。全国統一教会被害対策弁護団副団長の紀藤正樹氏が解説した。
母親は夫の自死に加え、山上被告の兄である長男が病気で失明したことを思い悩み、旧統一教会に入信。入信後、夫の保険金など5000万円を献金。以降も献金を続けて、自己破産。献金の総額は1億円にのぼった。2019年に兄が自死し、それでも母親は信仰を続け、山上被告は教団に恨みを募らせていった。
前回公判で母親は「徹也が大変なことを起こし、心よりおわび申し上げます」と謝罪し、信仰する宗教を問われると「世界平和統一家庭連合です」と答えていた。
この日は、後悔の言葉とともに〝母親の顔〟をのぞかせた。事件について問われると「私が加害者だと思っている」と証言した。献金を続けたことについても「献金したら(家庭が)良くなるだろうと思っていたが間違っていた。徹也は悪い人間じゃない。私がしっかりしていたら、こうはならなかった。本当は優しい子です。徹也に申し訳ないと思っています」と謝罪。退廷する際に「てっちゃん、ごめんな」と山上被告に語りかける場面もあった。
紀藤氏は母親の証言に「意外だった」と驚きつつ「自分の責任を一定程度認めたのかもしれない」と分析。山上被告側は殺人罪の起訴内容を認めており、争点は量刑。犯行に教団の影響がどれほどあったかがポイントになる。検察側は母親の尋問から強い犯行動機、計画性など罪状を重くする事情を示したい。一方、弁護側は犯行には、くむべき情状があることを示したい。
紀藤氏は「情状には良い情状と悪い情状があるが犯行の悪質性だけでなく、犯罪者傾向が進んでいるかという犯罪人属性や、再犯の可能性の有無が問題となる。母親が反省しているということは山上被告が再犯する危険性が低下する方向に向かうことになる。そういう意味で母親の反省は情状面で被告人に有利に働く可能性はあり得る」。
また「母親が教団に関わらなければ今回の犯行はなかったという意味で、犯罪人属性においても有利に働く」という。
一方で母親は今でも信仰を続けておりこの日の尋問でも「この形でやらせてもらえたら」と脱会しない意向を示した。紀藤氏は「母親が教団を辞めていないという要素もある。むしろ被告人がどう語るかが重要。反省、謝罪の態度あることが最も重要な要素。それがあって母親の尋問が効いてくる」と述べた。
20日に被告人質問が予定されており、山上被告の口から何が語られるのか。












