【プロレス蔵出し写真館】2023年12月に好評を博した〝怒涛の怪力〟ストロング小林を偲ぶ「ストロング小林展」の第2弾が、「懐かしき昭和レトロプロレス展」とサブタイトルが付けられ、10月10日から15日まで東京・青梅市の西友河辺店で開催される。

 実行委員長の持田一博さんは「伊賀忍法帖の台本がレアです。小林さんが着た衣装は立体感を出して展示する予定です」と語る。

 映画「伊賀忍法帖」は今から42年前の1982年(昭和57年)12月18日に公開された東映の正月映画。小林は前年10月から腰痛でプロレスを長期欠場していて、10か月ぶりの復活はスクリーンが先だった。小林の芸能活動の第一歩は映画への初出演だった。

 小林の役は、戦国乱世をかく乱させようという正体不明の妖術師・果心居士(かしんこじ)の配下で暗躍する妖術僧のひとり金剛坊。主役の笛吹城太郎役・真田広之、「角川映画大型新人女優」コンテストでヒロイン・篝火役を射止めた渡辺典子と共演した。

 8月17日、東京・新宿コマ劇場の稽古場で小林は役柄に合わせ、神妙な面持ちで頭を丸めた。バリカンで刈られた髪の毛を大事そうに箱に詰めた小林は、「これを氏神様にお供えして願をかけるよ。早く腰が治ってプロレスができるようにってね」と、腰痛がひどくなったころに、ある行者と知り合い「髪を切るなら、氏神様へ」とアドバイスされたことを取材陣に明かした。〝神頼み〟に頼ってでもリング復帰を望んでいた。

 さて、小林がストロング金剛と改名したのは、この役名を気に入ったからだった。

 11月6日に東映京都撮影所で行われた会見には、かつて蔵前国技館で名勝負を繰り広げたアントニオ猪木も駆け付けた(写真)。

 猪木は「小林とはライバルで、蔵前では私も印象に残る試合をやった。まだレスラーとして可能性を持っているが、今後は映画界でも頑張ってほしい」とエールを送った。

「今までは裸の男ばかりが相手だったが、これからは女も相手にしなければならない。東映の女優を総なめにしてほしい」と激励したのは〝過激な仕掛け人〟と言われた新間寿営業本部長。 

 映画では、小林と漁火役の美保純と〝濡れ場〟が用意されていた。スタッフは「本番1週間前から小林が美保純に特訓を受け、準備万端という感じに見えた。本番ではやっぱりアガっているのかNGの連続でした。でも、ダイナミックな動きは俳優では出せないすごい迫力。美保純がバラバラにされるんじゃないかとハラハラしました」と教えてくれた。

 小林はといえば「スタッフが大勢見ていたし、見ている人が多い方がプロレスと同じで気合が入った」と度胸がすわっていた。斎藤光正監督は小林が新人ということで、最初はしぶっていたようだが、撮影後は「起用してよかった」と絶賛した。

 ところで、実妹の小林さち子さん(77)は「(伊賀忍法帖は)見てないです。出るって聞いた時は〝大丈夫なのかな〟と…。割と不器用な人だから。ウチの母親も『お兄ちゃん大丈夫なの?』って。だけど『周りの人がよくしてくれてる』って言ってました。周りに支えられて何とかこなしたんじゃないですか」と振り返る。

「私はあんまりプロレスに関心がない方なんで、(生で)試合はほとんど見てないんですよ。ただ、国際プロレス時代から兄が出ているものを、すべてビデオを録らされていたので(テレビは)全部見てます。猪木さんと蔵前の試合は、国際プロレスのときとだいぶ違うなっていうのは感じました。猪木さんは双方のいいところを引き出してましたね」とさち子さんは笑う。

「兄は優しかった。大きな声は聞いたことないです。人の批判をすることはなかったです。よくしてくれた人、『いい人だよ』っていうときは言葉には出しましたね。新日本プロレスでいったら新間さん。あとはタイガーマスクの佐山(サトル)さん。佐山さんが入門したとき、兄は『いい子みたい』って話をしてました」(さち子さん)

〝昭和の巌流島決戦〟と言われた猪木VS小林戦(1974年3月、蔵前国技館)
〝昭和の巌流島決戦〟と言われた猪木VS小林戦(1974年3月、蔵前国技館)

 新間氏は猪木戦を実現するため小林宅に日参したことが知られる。

「もう何度も足を運んでいただいた。兄の通夜、葬儀の時も駆けつけてくれました。兄が亡くなってから、個人的にアドバイスをいただいたこともありました。兄が亡くなってからファンの方にお手紙をいただいたり、(小林展の実行委員長)持田さんや新間さんの話を聞いたりして、〝私、家族が知らない兄がここにいた〟って。あくまでも兄妹、親はあくまで小林省三でしかなかったんです。兄が亡くなって、私たちが把握できていない別のストロング小林としての人間性とか、そういうものは改めて感じましたね」と明かした。 

 昭和のプロレス界で活躍したストロング小林をファンは忘れてはいない(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る