自民党総裁選が佳境を迎えている。5人の候補がそれぞれ公約や中心となる政策を掲げているが、残念ながら政策の細部や、財源に関する説明が不十分であり、現状では「どの候補がどのような国策につながるか」は不透明なままだ。そのため、現在は「どの候補が勝利しても恩恵を受けそうなテーマ」を考えざるを得ない。

 先週の当欄では、太陽光や洋上風力などの「再生可能エネルギー」が世論の逆風を受けており、縮小せざるを得ない状況に陥っている点に注目。従来の石炭火力の代替案として「アンモニア火力発電」を紹介した。今週は、同じ視点で代替エネルギーのひとつである「地熱発電」を取り上げたい。

 地熱発電は、地下を掘削して噴出する熱水や蒸気を利用してタービンを回す発電方法。「環太平洋火山帯」に位置する日本は、米国、インドネシアに次いで世界第3位の地熱資源を有しているとされる。しかし、巨額の開発コストや掘削にかかる時間、開発規制、周辺の温泉資源の枯渇懸念などがハードルとなり、遅々として開発が進んでいない。

 政府の2030年度までの導入目標1・5ギガワット(原発1・5基分相当)に対して、現状の発電量は0・6ギガワット程度と半分以下にとどまる。資源エネルギー庁の資料によると、現在稼働している1000キロワット以上の地熱発電所は岩手県安比(あっぴ)など6か所のみだが、掘削調査・地表調査中の案件は38か所に上るという。

 最大のネックは、地下掘削に10年単位の時間が必要なことと、掘削に巨額の費用がかかることだ。そのため、政府は資源調査や債務保証などの支援を実施することで、事業化リスクの低減を図っている。今後、メガソーラーや洋上風力にブレーキがかかる可能性が高いことを考えると、政府はより一層、地熱発電の開発、普及に力を入れるだろう。

 株式市場では、なかなか収益に結びつかない地熱発電に関して冷ややかな見方が多かったが、今後は太陽光や風力の代替案として注目度が急上昇することが予想される。

 関連株としては、まず実際に地熱発電開発を進める三菱マテリアル(5711=2778円)や、再生可能エネルギーの開発・運営を手掛けるレノバ(9519=941円)に注目しておきたい。ほかに、地下掘削機メーカーの鉱研工業を10月に完全子会社化する不動産開発のヒューリック(3003=1620円)も面白そうだ。地熱関連はまだ手アカが付いていない銘柄が多く、今後も要注目である。(株価は30日終値)