ポストシーズンを前に「西の帝国」が揺れている。ドジャースの大谷翔平投手(31)を「先発起用」と明言したアンドリュー・フリードマン編成本部長(48)に対してデーブ・ロバーツ監督(53)やコーチ陣は発言を二転三転させ、ブルペン起用の可能性も示唆。首脳陣の一貫性のなさがひいては〝内部分裂〟を招くのではないかと危惧され、チーム関係者やMLB有識者の間からも懸念の声が広がっている。

 ドジャースのポストシーズンを巡る最大の焦点は、二刀流スター・大谷の投手起用法だ。米有力紙「LAタイムズ」が報じたように、フリードマン編成本部長は「大谷は先発で起用する」と明言。しかしながら、その直後には「10月は何が起こるか分からない」と含みを持たせ、ブルペン投入の可能性を完全には否定しなかった。

 問題をより複雑にしているのが、ロバーツ監督の姿勢だ。指揮官は「今のところ先発」と口にしながらも「状況次第で変わる」という趣旨の発言を繰り返し、先発一本に絞るのか、あるいはリリーフを視野に入れるのかが定まらない。シーズン終盤も選手起用や采配の〝迷走〟が目立っていることから、関係者の間では「ロバーツの一貫性のなさがフロントとの意見割れを招いている」との見方も出ている。

 実際、マーク・プライアー投手コーチ(45)はポッドキャスト番組「ダン・パトリックショー」に出演した際「リリーフの可能性は間違いなくある」と早くから言及しており、フロント内でも意見が一致していないのが実情だ。フリードマン氏が大谷について「ナ・リーグ最高の『先発投手』の1人」と称賛する一方で、ロバーツ監督は試合ごとに説明や評価を変えていることから「チームの方向性に混乱を生じさせている」との見方も向けられつつある。

 ドジャースでは短期決戦の舞台において、過去にもウォーカー・ビューラー投手(31=現フィリーズ)やクレイトン・カーショー投手(37)が緊急リリーフに回った例がある。大谷自身も2023年3月にローンデポ・パークで米国を相手に行われた第5回WBC決勝で侍ジャパンの一員としてリリーフ登板し、最後のアウトを奪って世界一の胴上げ投手となった実績がある。

 とはいえ、ブルペンでの切り札起用はファンを熱狂させる反面で、DHを失うという「二刀流ルール」の壁があり、チーム構成を根本から揺るがすリスクが伴う。この〝諸刃の剣〟を巡り、球団内部では真っ二つに割れている。「先発で安定した流れを作るべきだ」という慎重派と「勝負どころでリリーフに投入すべきだ」という短期決戦だからこそ攻撃的な采配を望む急進派。そこにロバーツ監督の発言の揺れが加わり、フロントとベンチの方向性の違いがますます鮮明になってきた。

 球団関係者やMLB有識者の中には「この〝分裂〟こそがポストシーズンの大舞台で迷走を招くのではないか」と不安を示す声もある。米メディアも「先発でこそ真価を発揮する」「リリーフこそ切り札」と双方に割れており、ファンの間でも議論が白熱しているのが現状だ。

 果たして大谷はドジャースの先発マウンドを任されるのか。それとも劇的なリリーフとしてマウンドに登場するのか。ロバーツ監督の迷走ぶりとフリードマン編成本部長の方針のズレは、ポストシーズンを前に〝内部分裂〟という不穏な影を落としてしまうことにもなりかねない。