我慢の圧勝だ。ボクシング・トリプル世界戦が14日、愛知・IGアリーナで行われ、世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチは4団体統一王者・井上尚弥(32=大橋)が、挑戦者のWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)を3―0の判定で破り、防衛に成功した。

 初回は慎重な立ち上がりだったが、次第に左ジャブで主導権を握っていった井上。驚異的な反応と技術でアフマダリエフのパンチを見切りながら、的確な左ボディー、右アッパーを突き刺すなど、付け入るスキを許さず。連続KO勝ちは11で止まったものの「過去最強」と呼んだ相手を技術で封じ込めた。

アフマダリエフ(右)にストレートを入れる井上尚弥
アフマダリエフ(右)にストレートを入れる井上尚弥

 リング上で井上は「みなさん、アウトボクシングもいけるでしょ」としてやったりの表情。契約する米大手プロモーター、トップランク社のボブ・アラムCEOも「井上尚弥は完璧なボクシングを見せた。スピード、テクニックだけでなく、戦略に沿って戦う。それこそが彼を偉大なファイターにしている」と絶賛した。

 次戦はサウジアラビア・リヤドでWBC同級1位アラン・ピカソ(メキシコ)と対戦する見通し。「サウジアラビアで12月にあると聞いているので、精進してまた素晴らしいボクシングをお見せしたいです」とアピール。さらに来場していた、来年5月に井上と対戦することを誓い合っているWBC・IBF統一バンタム級王者・中谷潤人(M・T)に「あと1勝、12月、お互い頑張って、東京ドームで盛り上げましょう」と呼びかけて、1万6000人の大観衆を喜ばせた。

試合後も涼しい表情の井上尚弥
試合後も涼しい表情の井上尚弥

 会見では「今日は最後まで作戦を実行して戦った」と振り返り「100点をつけてもいい」と満足顔。「今日は我慢が一つのテーマ。父(真吾トレーナー)からも『このままでいいんだよ。行き過ぎるな。ポイントをピックアップするボクシングをしっかりやれ』と言われたので、しっかり守ってやりました」と戦法を明かした。

 KOできる場面もつくれたのでは、と質問されると「つくろうと思えばつくれたシーンはあった。アフマダリエフも実力者なので、倒しに行けばまた違う展開になっていた可能性もある」と説明。豪快なKOはモンスター最大の魅力だが「倒しに行かないことが、これほど難しいのか、という発見はありました。そこをこらえて判定に持っていけたのは、よかった点」と新境地を見いだしていた。