パ首位のソフトバンクは2日のオリックス戦(みずほペイペイ)に2―1の逆転勝ちを収め、9月白星スタートを切った。8月最終カードで最下位・ロッテに連敗を喫して帰福。悪い流れを断ち切る価値ある勝利だった。

 立役者は「勝負の9月」を知り尽くした頼れるベテランコンビだった。初回に29イニング連続無失点中だったモイネロが先頭打者アーチを被弾。追いかける展開で迎えた終盤7回だ。先頭・栗原が二塁打を放って同点機を演出すると、川瀬の犠打で一死三塁。ベンチは迷わず、中村晃外野手(35)を代打に送った。勝負どころを心得た百戦錬磨の男は、難攻不落の相手エース・宮城から左前へ技ありの同点打。「いい投手に対して、食らいついて何とかしようという気持ちだけだった」。モイネロの負けを消し、宮城をこの回限りで降板に追い込んだ。

 主導権を奪い返すと一気に仕留めた。8回先頭の牧原大が四球で出塁。積極性が売りの32歳が選んだ今季6つ目の四球に勝ち越しの機運はおのずと高まった。続く柳町が犠打を決め、山川の内野ゴロで二死三塁。打席にはこの日5番に入った今宮健太内野手(34)。ぺルドモのツーシームを捉え、鋭いライナー性の打球が左前に弾むと力いっぱいに右こぶしを握った。「どこで打つか。一番打ちたいところで打ててよかった」。持ち前の勝負根性を発揮する決勝打だった。

 2位・日本ハムと1ゲーム差のし烈な優勝争いが続く中で、迎えた勝負の9月。勝敗の責任を背負えるのが、主力やベテランだ。この日の試合後、王貞治球団会長(85)は開口一番「中村、今宮が本当にベテランの味を出してくれた」と賛辞を贈ると、何度もうなずきながら「やっぱり、そこは10何年もやってないんだよ。いろんな修羅場をくぐり続けてきたから」とうなった。

 野球人の目の色が変わる9月。ベテランコンビが真価を発揮し、鷹が再び落ち着きを取り戻しそうだ。