摘発ラッシュの狙いは――。石破茂首相の進退問題に注目が集まる中、永田町では与野党の議員や関係者に相次いで捜査のメスが入り、誤報も生まれる混乱が起きた。国会議員が関連する疑惑はほかにもあるといい、嵐の予感だ。

 東京地検特捜部は27日、公設秘書の給与を不正受給した詐欺の疑いで、日本維新の会の石井章参院議員の永田町の議員会館事務所や茨城・取手市の事務所に強制捜査に入った。石井氏は茨城・藤代町議、取手市議を経て、2009年の衆院選で民主党から初当選。現在は維新で参院2期目を務めている。

 強制捜査を受け、維新の中司宏幹事長は「党のガバナンス強化へ改革を進めつつあるタイミングで、大変厳しいと感じている」とおわび。吉村洋文代表も「心からお詫び申し上げますと共に、党としても事実解明にあたり厳しく対処し、捜査機関の捜査に全面的に協力して参ります」と謝罪した。

「石井氏は維新で役職こそついていませんが、人脈が広く、金脈も豊富で、陰の実力者として知られています。これまでも政治とカネの問題を取りざたされていたが、なぜこのタイミングなのか。国会議員団の新代表に藤田文武氏が就任したが、バックにつく馬場伸幸前代表の復権もささやかれ、石井氏は馬場氏と近い関係にある。維新内の権力闘争ともいわれ、維新と自民の間で行われている連立協議にも今後、影響が出る可能性がある」(永田町関係者)

 一方、この日は読売新聞が朝刊1面で「公設秘書給与 不正受給か」と維新の池下卓衆院議員の疑惑を報じた。フタを開けてみれば、同じ維新の石井氏へのガサで、池下氏は「事実無根」と反論。その後、読売新聞の幹部が池下氏の事務所を訪れ、「強制捜査の対象を誤っており、誤報だった」と謝罪する騒動もあった。

 また、前日には参院選に自民党から出馬した阿部恭久氏を当選させるために経営する会社の従業員に現金を支払う約束をした公職選挙法違反(買収約束)容疑で、警視庁や鳥取県警などの合同捜査本部がパチンコ店経営の「デルパラ」の社長ら6人を逮捕した。

 阿部氏はパチンコ店でつくる業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」の理事長を務め、業界初の本格的な組織内候補として参院選に出馬も落選していた。阿部氏は関与を否定しているが、捜査本部は組織的な買収が行われていた疑いがあるとして、阿部氏陣営からデルパラ側への依頼有無なども調べている。

「永田町では特捜部が維新議員の捜査に及んでいるとウワサになっていた。今週発売の週刊誌では野党幹部の覚醒剤疑惑も報じられ、与野党で足の引っ張り合いのリーク合戦となっています。混迷する政局同様に警察、特捜部も国会議員の摘発を狙って、熱を帯びている」(同)

 捜査当局が手掛けるいずれかの疑惑は拡大する恐れがあり、嵐の前触れかもしれない。