シアトルが大興奮だ。アジア出身選手として初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(51)が9日(日本時間10日)、本拠地T―モバイル・パークで開かれた永久欠番セレモニーに出席。イチロー氏は感謝を伝えるとともにトーク力抜群のスピーチで大観衆のハートを打ち抜いた。

 鳴りやまない歓声と拍手、エンドレス状態となったスタンディングオベーションがイチロー氏が残した功績を物語っていた。イチロー氏と同じ51番をつけた名左腕、ランディ・ジョンソン氏らが待つ中、主役は外野から深々と一礼して現れた。周囲360度から寄せられる大歓声に手を振りながらマウンド近くへゆっくりと歩を進め、レジェンドたちとあいさつを交わすと出席者たちから祝福のスピーチを受けた。

 そしてイチロー氏がマイクの前に立つと球場内のボルテージはますます上昇。ただ、堅苦しいあいさつだけで終わらせないのが〝イチ流〟だ。「ワッツアップ、シアトル!?(シアトル、元気ですか)」と呼びかけると「本日、この場に立ち、最高の栄誉をいただけることに心から感謝します。でも、私に2週間で2度も英語でスピーチさせるなんて、一体誰のアイデアなんですか?」とジョークを一発。クーパーズタウンで行われた殿堂入り表彰に続くスピーチで、観衆の爆笑をさらった。

永久欠番セレモニーに出席しファンの歓声に応えるイチロー氏(マリナーズ提供)
永久欠番セレモニーに出席しファンの歓声に応えるイチロー氏(マリナーズ提供)

 そして、締めるところは締めた。イチロー氏が51番をつける前はジョンソン氏の代名詞だった。「2001年にこちらに来た時、ランディの承諾なしに背負うことはできませんでした。彼は快く譲ってくださいました。準備を怠らず、自分が信じることをやり続ければ、ランディが築いてきた51番の名誉を守れると感じていました。いつかシアトル・マリナーズの51番同士としてキャッチボールをご一緒できればと思います。ランディ、本当にありがとうございます」。長年、苦楽をともにしてきた弓子夫人には「(式典後の)今日の試合でまた一緒にホットドッグを食べられることを楽しみにしています」と呼びかけた。

 約13分間に及んだ永久欠番セレモニーのスピーチだが、最後まで飽きさせることはなかった。2001年4月のアスレチックス戦で全米の度肝を抜いた強肩ぶりを実況したリック・リズ氏を前に「ホーリースモーク! レーザービーム・フロム・イーチロー!!」とおどけながら〝完コピ〟してみせ、本人からサムアップポーズでお墨付きももらった。

 引退した現在も会長付特別補佐兼インストラクターとして活動する。ダッグアウトで耳を傾けていた現役選手たちに「もうヒットやレーザービームで助けることはできませんが、皆さんのために尽くしたい意志と気持ちはいつもここにあります」と伝え、最後は「ナウ、レッツ・プレーボール!!」と締めた。その存在感はやはり圧倒的だった。