女子ゴルフの山下美夢有(24=花王)が、米ツアーメジャー最終戦「AIG全英女子オープン」(英西部ウェールズのロイヤルポースコールGC=パー72)で同ツアー初勝利をメジャーで飾った。大会のメジャー昇格後では、2019年の渋野日向子(26=サントリー)に続く日本勢2人目の快挙。メジャー複数回優勝など今後のさらなる飛躍へ向けて、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の元会長・小泉直氏(86)が〝金言〟を授けた。

 メジャー初戦「シェブロン選手権」を西郷真央(島津製作所)が制するなど、日本勢が米ツアーで旋風を巻き起こす中、山下が大仕事をやってのけた。2位に1打差をつけてスタートした3日の最終日は、崩れることなく70でまとめて逃げ切り。終盤のピンチもパーでしのいで後続を追いつかせなかった。

 19年の渋野に続く全英女子制覇だが、メジャー昇格前の1984年には〝レジェンド〟岡本綾子が優勝した大会でもある。ビッグネームの偉業に並んだ山下は6年前、渋野の快挙に心を揺さぶられていた一人。いつかは海外の目標を胸に国内で22、23年と年間女王に輝き、満を持して今季から米ツアーへ本格参戦した。そして欲しかったタイトルを手に入れたが、「まだまだこれから。もっとレベルアップを目指して頑張りたい」と先を見据えた。

 山下の見事な勝ちっぷりに加え、勝みなみ(明治安田)が2位、竹田麗央(ヤマエグループHD)が4位だったことに、小泉氏は「快挙じゃないですか。選手層が広がってきた結果、米国にも追いついてきた。国を挙げての強さを感じました」と日本勢の躍進をたたえた。

 優勝者については「つけ入るスキがなかったですね。非常にテンポが良く、平常心でプレーしていました。逆境からはい上がる強さも持っていると思います。それに、これまで成功までの方程式を着々とつくってきたのが勝利につながったのではないでしょうか。感激しながら(中継を)見ていました」と絶賛した。

 一つの偉業を達成したとはいえ、これからの現役生活は長い。メジャー複数回優勝や米ツアーで勝利を積み上げていくことも期待される。米ツアー通算17勝で日本勢トップの岡本を筆頭に、宮里藍(サントリー)の9勝などを超えていくことも目標になってくる。

 そのために同氏は「彼女は一喜一憂することなく冷静ですね。その冷静さを持続することが重要ですが、〝今日の成果〟だけを目指すと、それができなくなります。だから〝明日への投資〟という意味での練習をしたり、精神状態をつくっていくといいんじゃないかと思います」とアドバイスを送った。

 やはり一度味わうと何度も…というのがメジャー勝利だろう。となれば、目先の結果を追いがちになってもおかしくはない。すべての原因がそうではないとはいえ、渋野は全英女子に勝ってから米ツアーでは未勝利のまま。昨年の「全米女子オープン」で大会2勝目を挙げた笹生優花(アース製薬)は、快挙後から不振が続いている。

 山下は〝明日への投資〟も怠らなかったからこそ、メジャータイトルに手が届いたというのが小泉氏の見立て。今後も変わらぬスタイルを貫いていけるかどうかが、今後の勝利数を左右しそうだ。

【米ツアー年間女王も夢じゃない】山下は「全英女子」制覇で各ランキングを一気にジャンプアップさせた。優勝賞金146万2500ドル(約2億1500万円)を獲得し、今季通算255万7508ドル(約3億7600万円)となり賞金ランキングは14ランク上げて3位に浮上。日本勢最上位となった。

 年間女王を争うポイントランクは16人抜きで4位に浮上。こちらは3位の竹田麗央が日本勢トップだが、新人王争いでは竹田を抜いてトップに躍り出た。今季の5大メジャーは終了したが、まだ戦いは続く。今後の成績次第では、新人王どころか、国内ツアーに続く米ツアーでの年間女王も夢ではない。

 また、今後の大会には歴代優勝者として出場が可能(60歳以下などの条件あり)。ほかのメジャーは来年から5年の出場権をゲットした。