ジャーナリストの鈴木エイト氏が「NG記者だから見えるもの」(講談社+α新書)を3日に刊行する。エイト氏は23年間にわたって世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を取材。会見の入場を拒否されるなど、まさに教団の宿敵ともいえるNG記者。宗教問題をはじめ選挙、医療問題、企業不祥事を取材してきたエイト氏だからこそ見えた真実とは――。
「NG記者」というワードが世間に浸透するきっかけとなったのが、2023年に故ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐって旧ジャニーズ事務所が開いた会見だった。
会見に参加したエイト氏は、質疑応答の際に挙手をして司会者と目が合っているのに指名されなかったことに違和感を覚える。翌日、会見を仕切るPR会社が質問NGの記者リスト、いわゆる「NG記者リスト」を作成し、意図的に一部の質問者への指名を避けていたことが判明。エイト氏もリスト入りしていたというワケだ。
エイト氏は「被害者への救済について補償額の算定に逸失利益が入ってない。加えて補償に際して保有する総資産の額が明示されていないことを出演番組やSNSで発信していたことが要因だと思います」と推察する。
NG記者と呼ばれることをどう思うのか。エイト氏は「都合の悪い質問をする記者として評価を得た」と不敵な笑みを浮かべる。「私の指摘が旧ジャニーズ事務所にとって都合の悪い内容だったということ。日本最大級の芸能事務所からのNGリスト入りは、私の知名度をアップさせ、プレゼンスが上がることになりました」と述べた。
どんな相手に対しても聞くべき事があれば遠慮や忖度をせずに聞く。取材スタイルは直接現場へ行って当人に聞くというシンプルなものだ。
しかし、取材対象者からすればエイト氏は都合の悪い質問をする疎ましい存在とあって、現場でハレーションが起きることは当然。身の危険を感じたことは幾度もある。
エイト氏は「怖いというより多くの被害者に接し『なぜこんなひどいことがまかり通るのか』という義憤の方が強い。そして自分ならできるという思いから、自分にしかできないことをやり続けている。自分の役割は事実を社会に提示するだけで判断は読者に任せるというのが基本姿勢です」。
この信念がエイト氏と教団トップとの〝直接対決〟を実現させた。3月、東京地裁が旧統一教会への解散命令の決定を行った。これを受け後日、教団の田中富広会長が日本外国特派員協会(FCCJ)で会見を開くことになった。これまで教団の会見への参加を拒否され続けたエイト氏だがFCCJから「統一教会は会見に参加させるなと言ってきましたが、特定の記者を排除するなら会見自体を開かせないと拒否した」との説明を受け、参加を許された。そして田中会長への質問の機会も得た。
教団は会見にエイト氏の参加を認める代わりに質問者として当てないようにと要請したという。エイト氏は「ですがFCCJのモデレーターは私を率先して指名してくれたんです。ジャーナリズムはしっかりと息づいていることを実感しました」と語った。












