中東の緊迫度が増してきた。イスラエル国防軍(IDF)は17日、イランの最高指導者ハメネイ師に最も近い人物と言われる、戦時参謀総長アリ・シャデマニ氏を暗殺したと発表。イスラエルは、イランの軍要人を次々と殺害しており、政権転覆も辞さない構えだという。両国の攻撃の応酬はどうなっていくのか。

 トランプ大統領は日、カナダで開催された主要7か国首脳会議(G7サミット)から離脱した。ホワイトハウスは、中東紛争を理由に早期退席を決めたと説明した。

 フランスのマクロン大統領が記者団にトランプ氏の帰国理由について、イスラエルとイランの停戦の可能性だと示唆した。

 しかし、トランプ氏は自身のSNSトゥルース・ソーシャルで「知名度を求めるフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、私がカナダでのG7サミットを離れ、ワシントンDCに戻り、イスラエルとイランの〝停戦〟に取り組むと誤って発言した。違う! 彼は私がなぜ今ワシントンに向かっているのか全く分かっていないが、停戦とは全く関係ない。それよりもずっと大きな問題だ。意図的かどうかはさておき、エマニュエルはいつも間違える。続報を待て!」と投稿した。

 トランプ氏はなぜ停戦にカギカッコを付けたのか。

 米国事情通は「トランプ氏が望むのは、停戦ではなく、イランに核兵器開発をやめさせ、永遠の終戦とすることでしょう」と指摘する。

 イランが核兵器開発を行っているのは、要塞化された山の地下奥深くにある軍事基地フォルドゥとみられる。90m以上の岩盤に守られており、イスラエルが持つどんなミサイルを撃ち込んでも無効だといわれる。

「フォルドゥのウラン濃縮施設を破壊するために必要なバンカーバスター(地中貫通爆弾)は米国だけが持っています。大型貫通爆弾GBU―は、爆発前に60m地中を掘り進むことができる精密誘導式で、これを複数回撃ち込めば、地下実験室を破壊できるとされています。イスラエルは特殊部隊を展開することも考えていましたが、成功確率は極めて低いと見積もっているようです。米国のバンカーバスターだけがイランの核兵器開発を止めることができるのです」と同事情通。

 また、核兵器開発を止めるだけでは十分ではないといわれている。

 軍事事情通は「バンカーバスターで核兵器保有能力を一時的に失うとしても、ノウハウを持った科学者はいます。核兵器保有意思を奪うには、現在の政権を崩壊させ、核兵器保有を望まない政権に交代させる必要があるとイスラエルは考えています」と語る。

 そんな中、英メディア「スカイ・ニュース」は「イスラエルがイランの最高幹部をリアルタイムで監視する能力を開発した。その恐るべき力は驚くべき効果を上げている。イランの軍と諜報機関の司令官たちは、一人ずつ追跡され、抹殺されている。13日だけで20人もの司令官が抹殺された」と報じた。

 たしかにイスラエルは13日にイラン革命防衛隊のサラミ司令官や、イラン軍のバゲリ参謀総長などを殺害。17日にシャデマニ氏を暗殺するなど軍の要人を次々と殺害している。その諜報能力と暗殺能力は非常に高いようだ。

「イスラエルは、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の斬首作戦および政権交代を考えているようですが、トランプ氏は反対しています。バンカーバスターの供与についても同様です。トランプ政権は、今回の紛争でイスラエルを一切支援していないと主張しています。紛争が米国に飛び火するからです。イスラエルが斬首作戦を実行するには、米国の承認が必要です」と軍事事情通。

 両国どちらかのミサイルが尽きるまで数週間、戦争が続くという見方もあり、トランプ氏は難しい判断を迫られそうだ。