米中関税戦争が拡大している。米国のルビオ国務長官が先月28日、中国人留学生のビザの取り消しを発表した。トランプ政権はすぐにこれを共産主義国からのスパイを一掃する手段だと位置づけた。最大28万人の中国人留学生を人質にしたのだ。その背景にはいったい何があるのか。
〝停戦〟していたはずの米中関税戦争が激化した。米中両国は二国間の経済貿易関係の重要性を認識し、5月14日から90日間、相互関税を削減していた。米国は145%から30%、中国は125%から10%に削減した。
この〝停戦〟を破ったのがルビオ氏の発表だった。これを受け、米メディア「アクシオス」は5月31日、「最大28万人の中国人留学生をターゲットにするという決定は、中国との進行中の貿易交渉にさらなる混乱をもたらすことになるが、舞台裏でルビオ氏を本当に激怒させたのは、中国が関税交渉の手段として貴重な希土類元素(レアアース)や磁石を隠蔽していることだった。米国のハイテク業界にとって希土類元素がいかに重要かを反映している」と報じた。
希土類元素は、コンピューターや通信機器、戦闘機、ドローン、潜水艦、そしてスマート爆弾などにとって極めて重要だ。米国の経済や国家安全保障に大きな影響が出ることが確実だ。
中国事情通は「第1次トランプ政権の時に関税戦争を仕掛けられた経験から、第2次関税戦争に備えていました。中国は7年かけて希土類元素の輸出管理体制を発達させました。世界の希土類元素の採掘の約70%と加工の約90%を中国が支配し、米国は中国に頼りっきりになっています」と語る。
そして、第2次トランプ政権は実際に関税戦争に打って出た。
「中国としては、希土類元素の輸出管理を強化させるだけです。それで米国経済に大打撃を与えられると計算済みだったのです。ルビオ氏が対中強硬派なのも織り込み済みです。それでも、トランプ政権が共産主義国家並みに独裁的に物事を決定・実行できることは驚きでしょう」と指摘する。
トランプ政権が中国人留学生を〝人質〟に取った。
米国事情通は「中国共産党エリートの多くは、子供を米国に留学させています。こうした学生にスパイ疑惑をかけ標的にすることは、中国共産党指導者たちへのメッセージとなります。またトランプ政権は、中国人留学生がビザ制度を利用して米国の大学、ハイテク企業などを〝企業スパイ〟していると公言しています。留学生を追い出すだけでなく、交渉材料で必要とあらば幹部の子供の逮捕もあり得る状況です」と言う。
中国人留学生ビザ問題は、米中関係の新たな火種となりそうだ。













