トランプ米大統領がハーバード大の留学生受け入れ資格の取り消しや補助金打ち切りを決定したことで、世界中が優秀な人材の確保を狙っている。特に米国のライバルである中国は受け入れに積極的で、貿易戦争の趨勢にも影響を及ぼしかねない。

 大阪大は28日、医学系研究科で最大100人程度を博士研究員として受け入れる方針を明らかにした。ハーバード大に限定したわけではなく、米国にとどまって研究することが難しくなった研究者を対象とし、国籍を問わないという。名古屋大も28日、留学生の受け入れを検討していると明かした。すでに東京大や京都大が支援の検討を明らかにしている。

 トランプ氏がハーバード大を狙い撃ちしている理由について、米国事情通は「イスラエルとハマスの戦争に対する学生のイスラエルへの抗議活動が勃発して以来、トランプ氏はハーバードを反ユダヤ主義と批判してきました。最近では留学生率が31%だとして、米国人の学びの機会を奪っていると非難しています」と語る。

 そんな中、米メディア・NBCニュースは27日、「トランプ政権がハーバード大への留学生の入学を禁止することに成功すれば、中国などの米国の競争相手に利益をもたらすだろうと専門家は指摘する」と報じた。

 NBCによると、ハーバード大を含む米国の大学は、毎年100万人以上の留学生に大きく依存しており、留学生は米国人の同級生よりもはるかに高い授業料を支払うことが多いという。留学生の多くは最終的に米国にとどまって、米国経済に数百億ドルの貢献をし、米国人に多くの機会を創出している。

 しかしその中で、中国人留学生、研究者たちは、トランプ政権最初の任期中に実施された中国の経済スパイや米国安全保障への脅威に対抗する国家安全保障プログラム「チャイナ・イニシアチブ」によって追い出され、多くは研究拠点を中国の大学に移したという。

 前出事情通は「トランプ氏がハーバード、さらには将来、他大から留学生を締め出すとすれば、米国の競合相手である中国に利益をもたらすでしょう。中国は、中国人の海外留学人材が帰国して起業することを積極的に支援、奨励し、大金を払って招き入れています。中国人だけでなく、インド、イスラエルなどの優秀な学生、研究者が路頭に迷い、中国に囲われることになるかもしれません」と語る。

 米国での留学生パワーは絶大だ。米メディア・アクシオスによると、米国のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の新興企業)の約44%は、インド、カナダ、イスラエルなどの国からの移民によって設立または共同設立されているというが、そのうちの多くは留学生として米国に来て、起業のためにとどまった人材だという。その留学生、研究者を中国、さらにはEU、日本などが受け入れることになるかもしれない。