責任重大だ。日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は26日に東京・両国国技館で会合を開き、大関大の里(24=二所ノ関)の横綱推薦を満場一致で決定。28日に「横綱大の里」が正式に誕生する。角界のニューヒーローへの期待が高まる一方で、今後は師匠・二所ノ関親方(38=元横綱稀勢の里)の責任も重みを増す。その師匠に対して、兄弟子の親方が〝厳格指導〟を要請した。

 大の里は夏場所で14勝1敗の好成績を挙げ、2場所連続優勝を達成。この日の横審では委員9人の全員一致で横綱推薦が決まった。大島理森委員長(78=元衆議院議長)は「まことに見事な成績。受けて泰然とした相撲と、圧力、前進の相撲。プレッシャーの中で堂々とやり抜いた。(委員の)皆さん、一致して文句なしの意見だった」と絶賛した。

 横審の推薦を受けて、大の里は茨城・阿見町の部屋で取材対応。「本当にうれしい。また頑張らないといけない気持ちになった。この知らせを聞いたことで、少しは横綱に対しての実感が湧いた」と気持ちを引き締めた。今後は28日に開かれる名古屋場所(7月13日初日、愛知・IGアリーナ)の番付編成会議と臨時理事会を経て、正式に横綱へ昇進する。

 これからは大の里を指導する立場にある師匠・二所ノ関親方の責任も重みを増す。その師匠に向けて、あえて注文をつけているのが兄弟子にあたる西岩親方(48=元関脇若の里)だ。ともに旧鳴戸部屋で現役時代を過ごした間柄。当時の師匠だった鳴戸親方(元横綱隆の里)は角界屈指の厳格な指導で知られていた。

元若の里の西岩親方
元若の里の西岩親方

 西岩親方は「稀勢の里が鳴戸親方から厳しく指導を受けたように、今度は稀勢の里が大の里を厳しく指導する番。師弟関係というのは、崩さないでいってほしい。今は時代とともに、師弟関係でありながら〝友達関係〟みたいな師弟もある。そうではなくて、鳴戸親方と稀勢の里の関係性を、稀勢の里と大の里につくってほしい」と力説する。

 大相撲の師匠は相撲の技術のみならず、礼儀作法や生活全般に至るまであらゆる領域を指導。時には師匠が弟子を厳しく叱責するなど、師弟関係は一定の緊張感の中で成立する。西岩親方は今でも「鳴戸親方より怖い人と出会ったことはない」と言い切るほどだ。それだけに「厳しさがなければ師弟関係は崩壊してしまう。もちろん理不尽なことや、たたくとかいうのは絶対ダメだけど、いい意味の厳しさというものは残してもらいたいなと。それでこそ師弟関係ですから」と熱弁した。

 横綱ともなれば、周囲からもてはやされ、勘違いをしてしまう状況に陥りがち。過去には朝青龍や双羽黒など土俵外のトラブルで引退を余儀なくされた横綱もいる。大の里が万が一にも道を踏み外せば、角界全体の大損失。西岩親方は「横綱になると、誰も何も言えなくなるし、言わなくなる。これからは、大の里に言う人はもう師匠しかいない」とくぎを刺した。

 果たして、二所ノ関親方は大の里を立派な横綱に育て上げることができるのか。その手腕に注目だ。