「見えない敵」にどう対応するか。昨季のドジャースは4年ぶり2度目のワールドシリーズ制覇を達成。今季も米本土開幕から1か月が経過し、3日(日本時間4日)現在で首位を守っており、ナ・リーグ西地区で順調なスタートを切っている。しかし華々しいディフェンディングチャンピオンは、陰で深刻な〝後遺症〟との戦いも強いられているようだ。
「ワールドシリーズ後のスランプは、話題にしないこと。一番の秘訣はそれさ」――。そう語るのは、ベテランのフレディ・フリーマン内野手(35)だ。2021年にブレーブスで世界一を経験し、その後ドジャースへ移籍。今季も主軸として打線をけん引するフリーマンは、米メディア「FOXスポーツ」のインタビューで「昨年は昨年。今年はまたゼロからの挑戦」と語り、優勝の記憶を「過去」として切り離すメンタル術を明かしている。
確かに、今季のドジャースも表面的には強い。貯金は10を超え、投打ともにリーグ上位の成績を維持している。だが実態は「野戦病院」さながら。鳴り物入りで移籍して来たブレイク・スネルをはじめグラスノー、精神的支柱のカーショーも不在。先発陣の相次ぐ故障により、ローテーションは事実上の綱渡りを強いられているのが現状だ。救援陣にもケガ人が続出し、指揮官のロバーツ監督も新たなブルペン運用に追われるなどシーズン序盤から難局が続いている。チーム周辺から「これもワールドシリーズを昨季制覇し、突っ走ってきた〝後遺症〟ではないのか」との声が飛び交うのも、無理はない。
そんな中でも、フリーマン、ベッツ、そして大谷といった主力選手たちは打線の核として奮闘。特にフリーマンとベッツの「ワールドシリーズ複数優勝経験者」がチームを支えている点は大きい。フリーマンは「今年のワールドシリーズを制するために、今を戦っている」とも力強く語り、慢心を許さない姿勢を強調した。
今季のドジャースは決して盤石ではない。地区内ではジャイアンツ、パドレスが猛烈に追い上げ、ひとたび足を止めれば首位陥落の危機もある。ただ、この〝緊張感〟こそが連覇への原動力になる――そんな気配も漂い始めている。
ワールドシリーズ制覇の栄光は、過去のもの。フリーマンの言葉に宿るのは王者としての誇りではなく、挑戦者としての矜持だろう。












