1958年に東京都立墨田病院で出生後、ほかの新生児と取り違えられた江藏智さん(67)が東京都に生みの親を調査することを求めていた訴訟の判決で21日、東京地裁は都に調査を命じた。都が控訴するかどうかに注目が集まるが、小池百合子都知事の判断はいかに。

 江藏さんは2004年になってDNA型鑑定により育ての両親との血縁関係がないことが分かった。都に損害賠償を求めた訴訟では06年に東京高裁で取り違いが認められ、計2000万円の支払いを命じる判決が都に対して出ていた。

 今回の判決は都に対して「調査を実施してその経過及び結果を報告せよ」としている。

 また、「出自を知る権利」は憲法13条が保障する法的利益だと判断。DNA鑑定から約20年後の判決に、江藏さんは「僕が求めることを裁判所で認めていただいたことを感謝いたします。そして東京都には一日も早く調査していただきたいと思います」と話した。弁護団は都に対して控訴しないよう働きかけを行う予定だ。

 このまま判決が確定するかどうかは都の決断次第となる。05年、当時の石原慎太郎都知事は調査に前向きなコメントをしていたが、06年の取り違えを認めた高裁判決後に一転。石原氏はプライバシーを理由に調査に否定的になったのだ。江藏さんは「定例記者会見で小池都知事に質問していただきたい」と小池氏の見解を求めている。

 知事の方針が都の決断を左右するのは間違いない。改めて江藏さんに小池氏に期待することを聞いた。

「この判決をどう都知事自身が受け止めて回答いただけるのか。東京都が控訴するのか、しないのか。確定なのか、確定したらどういう発言をしてくれるのか。どれくらいの意気込みで探していただけるのか」と、確認したいことはたくさんあるという。

 取り違えが裁判所に認められてから約20年が経過した。「20年前の高裁判決が出てから都に交渉に行っても相手にされていませんでしたから。その東京都がこの判決文をもとにどれくらいの人員を使って私の求めている取り違い相手、両親を探していただけるのかっていうのを聞きたいです」(同)

 実の親に会いたいという原告の思いに小池氏はどう応えるのか注目される。