元タレント・中居正広氏を巡るフジテレビの一連の問題で、フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)の株式争奪戦が大変なことになっている。20年前のニッポン放送株騒動の当事者がオールスターで再登場し、駆け引き争いが表面化しているのだ。
フジHDは3月27日に取締役会を開き、〝フジの天皇〟といわれた日枝久氏が6月の株主総会で取締役相談役から退任すると発表した。同時に金光修社長が取締役会長、清水賢治専務が代表取締役社長に就任。17人いた取締役を11人に減らし、独立社外取締役を過半数、女性取締役の比率を3割以上に引き上げた。
新たな体制で難局を乗り切りたい考えだが、アクティビスト(物言う株主)からは次々と待ったの声がかかった。
まず、大失敗に終わった1月のフジテレビの会見後に「株主総会で皆さんの怒りをぶつけましょう」とフジHD株の購入を呼びかけたのは実業家のホリエモンこと堀江貴文氏だ。
次に旧村上ファンド系投資会社レノとエスグラントコーポレーション、村上世彰氏の長女である野村絢氏がフジHDの株取得を始め、4月2日時点で発行済み株式の9・7%で、筆頭株主に躍り出たことが判明。レノは「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為などを行う」と公表している。
さらに北尾吉孝氏が会長兼社長を務めるSBIホールディングス(SBIHD)系の運用会社レオス・キャピタルワークスが5・1%保有していることが分かった。
いずれも2005年のニッポン放送株争奪戦で、フジテレビとは因縁がある面々だ。当時、企業価値が低いニッポン放送がフジテレビの筆頭株主だったねじれ状況に着目した村上氏と堀江氏は株を買い集め、一時は協力関係を結んだ。フジテレビは買収される寸前にまで追い込まれたが、北尾氏がCEOを務めるソフトバンク・インベストメント(現SBIHD)がホワイトナイトに名乗り出て、防衛に成功した。
その後、堀江氏はライブドア社の有価証券報告書に虚偽の内容を記載した証券取引法違反、村上氏は買収劇を巡るインサイダー疑惑の証券取引法違反でそれぞれ逮捕され、ともに有罪となった経緯がある。
今回のフジテレビ騒動で、村上氏こそ長女にバトンを渡した形となるが、当事者たちの熱は冷めていない。北尾氏は7日に自身のフェイスブックで「ライブドアによるニッポン放送買収劇でフジ側のホワイトナイトになった。当時は私のこの行動は大義のあるものだと信じていた。(中略)色々と私なりのリサーチをし、考え返してみたら、あの時ホワイトナイトをやるべきではなかったと思うに至った」「堀江さんが経営していたら、メディアとネットの完全融合がなされ、進化した高収益会社になっていたと確信する」と振り返り、堀江氏を評価したことに投資家の間では衝撃が走った。
「6月の株主総会を前に大株主は株主提案ができる。既に5%超を保有する物言う株主のダルトン・インベストメンツは金光氏、清水氏ら新経営陣の退任と新経営陣を迎え入れるべきと主張している。堀江氏が最低でも社外取締役として、推挙される可能性があり、北尾氏や一般株主が呼応するようなことがあれば、現経営陣は戦々恐々でしょう。筆頭株主となった野村氏は高値で売り抜ける目的とみられるが、どう動くのか」(市場関係者)
堀江氏は自身のYouTubeやSNSで、フジHDの不動産事業とメディア事業の分離での経営効率化、知的財産を生かしたコンテンツの世界展開案などを一般株主にプレゼンするかのように披露している。「このままだったらフジHDはさらに弱体化して、5~10年後に立ち行かなくなる。変わらなくてはいけない状況に追い込まれたのでむしろチャンス。今だったら変えられる」と20年前にはかなえられなかったフジテレビの経営に意欲を燃やしている。
取締役相談役から退任する日枝氏だが、金光氏を通じての〝院政体制〟との見方や金光氏のクーデター説などフジHD側も虚々実々で、事態は混沌としている。20年の時をへて、再び血みどろの争いが繰り広げられることになる。












