F1日本グランプリ(GP=鈴鹿、4~6日)が大きな盛り上がりを見せたが、サーキットでの火災が4度発生する前代未聞の事態も注目された。強豪に緊急昇格したレッドブルの角田裕毅(24)は、惜しくも入賞圏外の12位。それでも開催3日間で26万6000人の大観衆が押し寄せる熱狂ぶりだった。しかし、水を差したのが、再発を繰り返した火災問題。モータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(62)は原因を分析した上で、今後の対策を提言した。

 角田は結果こそ12位だったが、全体的に順位の変動がほぼないレース展開で2つ順位を上げたパフォーマンスが評価され、MVPにあたる「ドライバー・オブ・ザ・デー(DOD)」に選出。爪あとを残した。

 小倉氏は角田の結果について、Q2敗退の15番手と出遅れた予選の出来が大きく響いたと指摘。「路面温度が少し低めだった。タイヤの温め方など環境的な要因もいっぱいあるので、どうしてもシミュレーターでは再現しきれない部分もある。そこにちょっと引っかかってしまった」と、急な移籍で新マシンに順応する時間が限られていた点を強調した。

 それでも「長い周回を走り込めたので、いろんなことが学び取れたそうだ。学習しているので、次につながるいろいろなものを得られたと思う。今後に向けては収穫があった」と、次戦バーレーンGP(決勝13日=日本時間14日)からの巻き返しに期待を寄せる。

 熱戦の一方で、鈴鹿サーキットで発生した火災が各セッションに大きな影響を及ぼした。4日のフリー走行2回目では、コース脇の芝生で2度火災が発生。5日の同3回目でも同様に火災が起き、いずれも赤旗中断でドライバーが走行できる時間が大きく削られた。水をまくなど再三にわたって応急処置をしたが、重要な舞台である予選でも芝生が燃え広がる事態が発生。赤旗中断を余儀なくされた。

火災の原因?レース中に飛び散る火花(ロイター)
火災の原因?レース中に飛び散る火花(ロイター)

 コース脇の火災が起きる事例はあるが、4度も繰り返したのは前代未聞。小倉氏は原因について「結構(空気が)乾燥していたのでは。最近、日本では山火事が多いのもある。春先で寒く、冬場に近いので、やはり乾燥はある。鈴鹿は(以前のように)秋にやりたいだろうが、F1の都合で春に持ってこられた。それも鈴鹿にとっては災難だろう」と最近の気候や、昨季から変更された開催時期などが複雑に絡み合っているようだ。

「また問題なのは、今のF1は車体の下にある木のすり板にチタン製の金属を付けている。以前に一度やめたが、近年になって『火花が出たほうがかっこいい』となって、金具を付けるようになった。その金具から火花が飛び散ったと思う。それで乾燥していた芝生に引火してしまったのでは」と小倉氏は指摘する。

 散水などサーキット側の対策は効果が限られているため、今後の予防策としては「見た目がかっこいいからと、チタンの金属板で火花を散らせるのは止めたほうがいい」と火花を抑える方策を求めた。

「あれで赤旗中断してフリー走行の時間も減り、予選も流れが変わってしまった。ああいうことがないほうがいい」と小倉氏は再発防止を訴える。今回の日本GPを教訓に、F1界の安全向上へとつながるか。