巨人の円熟エース・菅野智之投手(34)が両リーグ単独トップとなる13勝をマークするなど、チームを4年ぶりのV奪回へけん引している。右腕が復活を遂げた一因には直球の威力が増したことが挙げられる。その中には、とことんまで野球を突き詰める背番号18らしい「こだわり」が凝縮されていた。

 セの各球団が10日から7連戦を迎える中、チームは2位・広島との首位攻防3連戦(マツダ)からスタートする。シーズン終盤で優勝争いを繰り広げられているのも、開幕から好調を維持する菅野の活躍があってこそだろう。

 本人も「パフォーマンスは高水準を保っている」と胸を張るが、中でも直球は150キロ台前半とは思えないキレで数多くの打者が差し込まれている。その進化した直球に絶大な自信を見せたのが、1日の阪神戦(甲子園)だった。同点の5回二死一、二塁で得点圏打率がリーグ上位の森下を直球で打ち取り「真っすぐが一番打ちづらい。真っすぐの状態が悪くなかったし、押し込める自信があったからゴリ押しした」とニヤリと笑った。

 首脳陣の一人は「菅野がコーチと意識して取り組んでいるのが『球持ち』をより良くすること。マウンドから打者までの18・44メートルをどれだけ短くできるかを考えている。ボール1個分(約7.3センチ)でも、バッターに近いところから投げることができれば、打球はほとんどが詰まる」と明かす。

 そのためには体重移動や腕の軌道など、投球に関係するあらゆる動作を突き詰める必要がある。必死の努力で新たなフォームを固め、球持ちもさらに良くしたことで、打者からは菅野の直球は実際の球速よりも速く見えるという。

 加えて直球を配球の中心に置けることで宝刀のスライダー、フォークなど変化球もこれまで以上に効果的になった。

「最近の菅野は久保巡回投手コーチと『この配球だと打者はこういう反応する。だから打ち取れる』など楽しそうにやりとりしています」(前出の首脳陣)

 その成果は被本塁打数にも表れている。昨季は14試合で10被弾だったが、今季は20試合でわずか5被弾と激減している。

 優勝争いも佳境を迎え、菅野は「(状態を)維持するのではなく、さらに上げていけるようにやっていきます」と力を込める。2017、18年に2年連続で沢村賞を獲得した「絶対エース」が新たなステージを迎えつつあるようだ。