2026年北中米W杯アジア2次予選で、サッカー日本代表がホーム戦で北朝鮮に勝利した21日、平壌で26日予定されていたアウェー戦の中止が決まった。北朝鮮側の都合によるものだが、具体的なドタキャン理由は不明。

 北朝鮮では折しも21日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」や朝鮮中央テレビが、日本で広まっている「悪性伝染病」について報道。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」を指すとみられる。ドタキャンはこれを警戒した防疫措置ではといわれているが、北朝鮮専門家はいぶかる。

「北朝鮮には中国を結ぶ定期航空便があり、ロシア人観光客を受け入れたという報道も最近あった。防疫を理由にするのなら、そもそも選手団を今回東京へ派遣しないはず。来日の際、マスクをあごまでずらした選手もいた」

 試合会場となるはずだった金日成スタジアムは、日本代表には不慣れな人工芝だが、アジアサッカー連盟は今月上旬に視察し試合可能と判断していた。「最近の天候などの問題でグラウンドコンディションが悪化したとしても、直前キャンセルにはならないだろう」

 防疫がドタキャン理由の建前なら本音は何なのか? 同専門家は「北朝鮮が負けでもして、人民が収拾つかなくなるのを金正恩が恐れたのでは」と指摘する。

「北朝鮮ではこのごろ、サッカーの試合開催数日前に朝鮮中央テレビで告知があり、どうやら入場料を取っている。今回も入場料を取る予定だったようで、〝金まで払って観戦したのにこのザマか!〟と観客が興奮し、以前の国際試合の二の舞いになろうものなら、北朝鮮としては国際社会に顔向けできない。そもそも、26日の朝日戦については事前告知もしていない」(同)

 以前の国際試合とは、05年3月に平壌で行われたドイツW杯最終予選イラン戦のことだ。北朝鮮が負けると一部観客がピッチにモノを投げ込むなど暴徒化し、国際サッカー連盟は北朝鮮にホーム開催権の剥奪処分を科した。

「北朝鮮当局は今、人民の動きに気をつかっている。というのも生活が苦しいから。輸出入はコロナ禍よりはマシになったが、まだまだ少ない。スポーツ観戦は数少ない娯楽の一つで、そんな公衆の面前で自国チームが負けることがあっては危険と判断したのでは」(同)

 試合会場のセキュリティー問題もある。「北朝鮮では最近、コンサートなどの催しに手持ち花火などを持ち込むのがはやっている。飲料も資源不足でペットボトルの生産が減少し、瓶入りの製品が多くなっている。観客がこうした危険物を持ち込めば安全は保てない。ならば入場時の荷物チェックを徹底すれば…と思うが、そもそも北朝鮮では、たくさん人が集まるところで荷物確認する文化がない。表向きは統制されている国だから」(同)

 北朝鮮は今回のドタキャンで、国の脆弱さを露呈した格好だ。