〝師匠〟が示した最適解とは――。1月の契約更改で将来的なメジャー挑戦の意思を表明したロッテ・佐々木朗希投手(22)。最速165キロを誇り、史上最年少で完全試合を達成した右腕だけに、最大の焦点は夢の実現時期といえる。いかにして海を渡るか。佐々木とじっこんの仲であるソフトバンクのロベルト・オスナ投手(29)もその動向を気にかける一人。MLB元セーブ王は「彼はすぐにでもメジャーで通用する」と断言した上で、越えなければならないハードルを提示した。

 10日に行われたソフトバンクとのオープン戦で、佐々木は得点圏に毎回走者を背負いながらも決定打を許さず、3回無失点に抑えた。最速は157キロ、4安打5奪三振3四死球という内容。出力をセーブしての結果で、順調な調整ぶりがうかがえる。

 一昨年まで所属したロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアムで佐々木と再会したオスナ。2人はカード初戦とこの日の登板前に顔を合わせ、互いの近況報告とともにシーズンの健闘を誓い合った。

「普段からかなり仲はいいよ。彼から電話も頻繁にかかってくるし、食事にもよく行く。私にとっても特別な存在なんだ」

 佐々木は、MLB通算314試合登板、155セーブを誇るオスナを尊敬。オスナもまた自身を慕い、希少な才能の持ち主である佐々木に惜しみなくメジャーでの経験を伝えてきた。佐々木にとって、オスナはいわばMLBの世界で早々と成功を収めた先輩格であり〝師匠〟とも呼べる存在だ。

 このオフ、佐々木はいわゆる「越年」を経てキャンプ直前に契約を更改。ロッテ球団と佐々木のやり取りは当事者にしか分からないが、契約更改後の会見で右腕はメジャー挑戦希望を公言した。いずれ最高峰の舞台へ羽ばたく時が来ることは間違いない。

 オスナは「才能としては何も言うことがない。メジャーを含め、これまで私が見てきた中で1、2を争う。彼はすぐにでもメジャーで通用する」と断言した上で「もしかしたら来年か、再来年にはアメリカに行ってしまうかもしれない」と旅立ちの時に思いを巡らせている。

オスナ(右)におなかをさすられる佐々木朗希
オスナ(右)におなかをさすられる佐々木朗希

 海外FA権の取得は最短9年だが、ポスティングシステムを活用すれば、早期の移籍が可能となる。だが、メジャーの労使協定による現行ルールでは25歳未満の海外選手はマイナー契約しか認められておらず、契約金と年俸上限も設定されている。また、契約額に応じて支払われる旧球団への譲渡金も低く抑えられている。夢の実現か、球団への恩返しか。佐々木を巡って賛否両論が渦巻くのは仕方がないことかもしれない。

 双方の立場を理解すれば、最適解を導き出すのが難しい事案である。オスナは「メジャーリーガーになってもらいたい」と語った上で、佐々木が夢の実現までにクリアすべき課題があるとも指摘する。

「彼がやるべきことは、まずはこの1年間ケガをしないこと。次にシーズンを投げ切ること。そして、自分は『投球を知っている』ということをアメリカの人たちに見せなければならない。メジャーと日本の野球は違うので、メジャーの野球をもっと知る必要がある。あとはルーティンをしっかりと築くこと。そうすればMLBの評価はもっと上がる」

 佐々木は今季プロ5年目を迎える。戦績は実働3年、通算19勝10敗。シーズン完走がないだけに、日本よりも登板間隔が短いメジャーへの適応を含めてまだ越えなければならないハードルがあるのも確かだろう。

 それを念頭にオスナは盟友のメジャー挑戦について「今、朗希がやらなければいけないことは山本(由伸)がやってきたように、しっかりと日本で結果を残すこと。イニングをしっかり投げる。ケガをせず、シーズンを通して投げ切ること。朗希はそれをやらないとダメじゃないかなと僕は思う」と明示。3年連続で「沢村賞」に輝き、このオフにオリックスからドジャースへポスティング移籍した山本の〝足跡〟を最適解と例示した。

「朗希は人として落ち着いていて、私よりも年下だけど、尊敬できる人。彼には日本人のモデルになってもらいたい」と語ったオスナ。自身は新たにソフトバンクと4年契約を結び、日本球界の発展に貢献することを誓う。2024年、同一リーグの強力なライバルながら、NPBのレベルを押し上げる盟友との最高峰の戦いに胸を躍らせている。