藤井聡太八冠(21)に菅井竜也八段(31)が挑戦する「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」の第4局が7、8日の両日に行われ、藤井八冠が121手で勝利。同シリーズ4連勝で王将戦3連覇を果たした。
これで藤井八冠は大山康晴十五世名人が1963~66年に樹立した記録を上回るタイトル戦20連覇という快挙も達成した。
今回の王将戦は居飛車で頂点に君臨する藤井八冠に、振り飛車党の第一人者である菅井八段が挑戦する「居飛車VS振り飛車」の構図で注目された。藤井八冠の〝完封〟で幕を閉じたシリーズ全体を振り返ろう。
第1局は菅井八段の最も得意とする「三間飛車穴熊」に対し、藤井八冠は「居飛車穴熊」で対抗。三間飛車と居飛車で飛車の位置は違えど、どちらも盤面の端に自玉を安置し、自陣の守りを鉄壁にした上で戦う「城外戦」を選択した。飛車・角・銀・桂を巧みに活用させながら攻める隙をうかがう緊迫した中盤戦だったが、徐々に藤井八冠がリードを広げる展開、いわゆる「藤井曲線」上に局面が進行し、終わってみればほぼ完勝に近い形となった。
第2局は「三間飛車&ダイヤモンド美濃囲い」、第3局は「向かい飛車&片美濃囲い」と、菅井八段は攻撃の拠点となる飛車の位置と自玉の囲いを巧みに変化させながら藤井八冠と対峙するも、どちらも中盤戦で大きく差をつけられてしまい、失敗に終わった。
あとがない菅井八段にどんな作戦が残されているのか? 注目されつつ始まった第4局は、開局直後に藤井八冠が角交換を選択、乱戦へと突入した。これまで相手の出方をうかがいつつ、慎重な駒組を行う印象のある藤井八冠のこの選択は衝撃を与えた。
第1局から第3局まで、振り飛車に「応じる」将棋を指してきた藤井八冠であったが、本局は積極的に振り飛車そのものを「咎める」ような内容。大駒の交換が頻繁に行われる複雑な局面の中、藤井八冠は確実にリードを広げ、堅牢な囲いを維持する藤井玉に対し、菅井玉の守りは空中分解し、大差での決着となった。
AIによる評価値が低くなることからプロ棋士は振り飛車の採用が少ないが、アマチュア界では依然として根強いファンは多い。「X」(旧ツイッター)上では、振り飛車党の〝党首〟菅井八段の健闘をたたえる投稿も続々と上がっている。
「菅井先生、振り飛車のすごい戦法を引っ提げてまたタイトル戦に帰ってきてください」
「振り飛車は不滅です」
「菅井八段お疲れさまでした。これからも振り飛車の将棋を見せてほしい」
菅井八段は振り飛車党の期待にこたえられる日は来るのだろうか。












