〝階級論争〟が再燃だ。ボクシングのスーパーバンタム級世界4団体王座統一戦(26日、東京・有明アリーナ)、WBC&WBO王者の井上尚弥(30=大橋)がWBA&IBF王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)に10ラウンド(R)1分2秒でKO勝ち。史上2人目となる2階級での4団体王座統一に成功した。一方で、相手を仕留めるのに珍しく〝苦戦〟。「階級の壁」も指摘されるなか、元王者の見解は――。
モンスターが偉業を達成した。4Rに左アッパーからラッシュをかけて最初のダウンを奪うことに成功。その後はタパレスに粘られたものの、10Rに強烈な右ストレートを叩き込んでKO勝ちを手にした。試合後は「スーパーバンタム級に上げて2試合で4個のベルトを集められて達成感もうれしさもあります」と笑顔。今後については「今の適正階級はスーパーバンタム級」とし、将来的にはフェザー級転向を視野に入れつつ、当面は現在の階級で戦う構えだ。
ただ、これまでのモンスターは序盤でのKO勝ちを続けてきただけに、10R決着は「手こずった」との印象も残した。ファンの間では「階級の壁」を指摘する声が上がり、インターネット生配信の解説を務めた元世界2階級制覇王者の畑山隆則氏も「一応、これも階級の壁なのかなとも思いましたけど。今までみたいに序盤でガーンという感じじゃなくて、相手は耐えてるもんね」と語っている。
この〝階級論争〟に参戦したのが、ボクシング界きっての論客で元日本スーパーライト級王者の細川バレンタイン氏(42)だ。公式ユーチューブチャンネル「前向き教室」で発信を行っている細川氏は「タパレスが頑張ったと思います。(7月前戦の)フルトンは1Rからビビっていたけど、タパレスはそんな様子がなかった」と分析。かねて階級の壁の存在を指摘しており「階級を上げるのって、簡単なことじゃないっていうのも分かってもらえたと思います」とした上で、次のように続けた。
「井上だって人間ですから。今までだったらガードの上から殴って吹っ飛ばせたけど、階級を上げれば相手の耐久力も上がるから難しくなります。ここから階級を上げれば、よりパワーは通用しなくなります。それはボクシングの歴史が証明しているんです。フロイド・メイウェザーもマニー・パッキャオも、最初はKOを量産していました。それが階級を上げるに従って、判定が増えたんです」
だが、細川氏はこの階級の壁こそが井上の新たな姿を引き出すとみている。「メイウェザーもパッキャオもパワーが通用しなくなって技術で戦うようになった。井上も階級を上げていけば、そうなるでしょう。それが楽しみなんです。今まではパワーが圧倒的すぎて技術を見せる前に試合が終わってしまったから。井上は技術もとんでもないんです。階級を上げればそれを見ることができる。井上なら、もしかしたら技術でKOを量産することだってできるかもしれない。今回の試合はそんな次の挑戦に期待させてくれる戦いでした」
さらにそうした変化により「それを見ればファンの目も肥えると思います。ボクシングの面白さが広がると思う」とも期待する。スーパーバンタム級わずか2戦で4団体統一という偉業を成し遂げた。井上はこれからもボクシング界の常識を覆し続けてくれそうだ。












