日本水泳連盟の鈴木大地会長ら水泳3団体が28日、季節外れの流行を見せている咽頭結膜熱について、「プール熱」という名称を使用しないよう厚生労働省に陳情した。

 咽頭結膜熱は主に夏季に子供を中心に流行するウイルス性の風邪で、水を介して感染するほか、咳やくしゃみによる飛沫などでも粘膜を通して感染する。今シーズンは季節外れの流行を見せておりプール熱を耳にする機会は多いが、鈴木氏は「プールが危険かのような風評被害がある」として使用しないよう訴えた。

 近年は社会の変化もあって、これまで当たり前のように使われてきた病名の見直しが進んでいる。9月には日本糖尿病協会と日本糖尿病学会が糖尿病について、誤解や偏見を生んでいるとして、英名の「ダイアベティス」に変更する案を発表した。すでに変更された例では、かつての痴呆症が認知症に改められている。

 とはいえ、まだまだ首をかしげるような病名は多い。例えば「リンゴ病」は伝染性紅斑という感染症の別名で、両頬がリンゴのように赤くなることから名づけられた。もちろん、リンゴを食べたら感染するわけではない。また「キス病」は伝染性単核球症という感染症のことで、キスや飲み回しによって唾液に潜むウイルスが感染するため名づけられた別名だが、実際に感染したら他人には言い出しにくいだろう。

 このように病名が誤解や偏見を生むケースは少なくない。実際に「サル痘」が世界的流行した昨年は、サルを虐待する事例が相次いだ。最初に実験体のサルからウイルスが発見されたことが由来だが、自然宿主はネズミなどのげっ歯類で、WHOは病名を「エムポックス」に変更するよう推奨している。

 今回はプール熱が注目されたが、今後も社会の変化に対応した病名の見直しが必要になるだろう。