このまま逃げ切るつもりなのか。日大アメリカンフットボール部の薬物問題を調査した第三者委員会が31日に都内で会見し、大学側の不適切な対応に厳しい目を向けた。林真理子理事長ら上層部が批判の矢面に立つ一方で、日大関係者はアメフト部の中村敏英監督の〝暗躍〟を告白。自身の監督責任を棚に上げて続投に意欲を示し、廃部を避けるために部員たちに嘆願書の作成を指示したという。この〝延命〟の動きに、学生の間からも疑問の声が上がっている。

 日大アメフト部の薬物事件を巡り、第三者委員会は31日に調査報告書を公表。綿引万里子委員長(弁護士)らは都内で会見し、大学上層部の不適切な対応を問題視した。これを受けて、林理事長はコメントを発表。学生や保護者らに謝罪した上で、報告書を受け「教育機関として再起できるよう誠心誠意努力してまいります」と信頼回復に努める姿勢を示した。

 一方で、問題発覚から一度も表舞台に出てきていないのが、アメフト部の指導陣だ。報告書によると、昨年11月の段階で部員1人が大麻使用を認め、ほかの7人の先輩部員の使用を中村監督(報告書ではC監督)に申告。しかし、大学上層部まで報告されることはなかった。会見では中村直人委員(弁護士)が「11月時点で表に問題が出て処理できていれば、こんなにひどいことにはならなかった」と初期対応を問題視した。

会見を行った第三者委員会の綿引万里子委員長
会見を行った第三者委員会の綿引万里子委員長

 そうした中、無期限活動停止処分が続くアメフト部で、新たな動きが判明した。日大関係者は「文理学部のキャンパスで21日に、緊急ミーティングが開かれて(部員123人のうち)半数が参加した」と証言。その会合では「(アメフト部は)かなり危険な状況で、廃部になる可能性もある」との危機意識が共有されたという。

 さらに、同関係者は「中村監督は部の存続のために(部員に)嘆願書を書くように指示しているようです。ミーティングの参加は強制ではないけど、廃部を避けるために学生で話し合っていることや、今どういう気持ちなのかを、文書にして大学に送りたいと伝えたようです」と明かした。この部分だけを聞けば、指導者が学生たちの活動の場を守るための行動にも受け取れる。

 ただ、中村監督は部員による大麻使用の監督責任を問われる立場。卒業生を含めれば10人以上が関与しているとの情報もあるだけに、なおさらだ。部内でも指導陣の対応が問題視されており、同関係者は「(ミーティングで)中村監督の責任について発言した学生がいたけど、『大学側からやめろと言われればやめるけど、言われなければやめない』と…。全て大学に任せるのような発言をしていた」。部員の間でも指導陣に対する不信感が強まっている。

 アメフト部の存続を揺るがす一大事にもかかわらず、指導陣から詳しい状況説明がない現状にも、部員たちは不満を募らせているという。「部長などの幹部は監督と会っているけど、それ以外は報道を見て現状を知る。チームからは何も聞かされていないので『もういいや』となっている学生もいる」

 最終的な進退の行方は別にして、自らの責任を棚に上げて地位に居座ろうとする指導者の姿は〝保身〟と受け止められても仕方がない。薬物事件とは無関係の部員こそが、今回の騒動の最大の被害者かもしれない。