【赤ペン! 赤坂英一】今季、5年ぶりに巨人の二軍をイースタン・リーグ優勝に導いた二岡二軍監督が、来季から阿部新監督のもとで一軍ヘッド兼打撃チーフコーチを務める。
二岡はオールドファンにとって、巨人史上唯一無二の“歴史的快挙”を実現させたヒーローだ。23年も前の2000年9月24日、東京ドームの中日戦の9回、4―4の同点で代打に立った二岡は、サヨナラホームランを打って優勝を決めた。
実は、当時の長嶋監督はそれまで一度も本拠地で胴上げされたことがなかった。しかも、この試合は公式戦最終戦で、長嶋監督は翌01年、優勝を逃して退任している。
つまり、ミスタージャイアンツが白いホーム用ユニホームで宙に舞ったのは、あの23年前の中日戦が最初で最後だったのだ。それほど貴重な場面をすんでのところで実現させたのが二岡だった。
あの時、長嶋監督の胴上げを意識していたのか。のちに、日本ハムに移籍した二岡本人に確かめる機会に恵まれた。
「打席に立ったときは、長嶋さんがどうこうっていう意識はなかったですね。その時は知ってたかもしれないけど、あとになって忘れたのかな」
同点で迎えた最終回の打席で、特に緊張することもなかった。「三振しなければいいぐらいの気持ちだった」という。
この時、二岡を見つめながら、ベンチの長嶋監督はこうつぶやいた。
「高めだな。高めにきたら、二岡はセンターからライトへ持っていくぞ」
そして、二岡は実際に外角高めのスライダーを右翼スタンドへ運んだ。長嶋監督の予言をも実現させたこの一発を、二岡は「来た球にごく自然に体が反応した感じです」と淡々と振り返った。
「僕、昔から舞い上がるってことがないんです。開幕戦でも日本シリーズでも、緊張したり、興奮したりしたことがない」
そんな二岡が巨人入りした1998年、最初に手ほどきを受けたのが、先輩の二塁手・仁志。二遊間コンビを組んでいたことから、当時は食事にもよく連れて行かれた。
「仁志さんは細かいことをいちいち言いません。毎日の会話とかプレーの中で、さりげなく大事なことを教えてくれた」
二岡は14年に引退後、巨人の二軍打撃コーチや独立リーグ富山の監督を歴任。その間も、仁志は励ましの連絡をよこしたという。良き先輩の助言を、来年から阿部巨人の一軍で生かしてほしい。













