【森脇浩司 出逢いに感謝(4)】オリックスは142試合目の「10・2」決戦でソフトバンクに敗れ、リーグ制覇の夢はかなわなかった。しかし、シーズンはまだ仙台で楽天戦2試合を残していました。消化試合を連敗で終わり、続くCSファーストステージで負ければ「やっぱりな」ってなる。もってこいの餌食になって「やっぱりあいつらは経験もないし、弱かったんだ」ってなる。そういうのは避けたかった。
まだ気持ちが切り替わってない選手もいるし、ヘトヘトになって疲労も抜けないし、コンディションは様々だけど、3位チーム・日本ハムとのCSにつながっていく。どのようなコンディションであっても目の前に集中する、そういう集団を作る、という思いで2試合を戦って勝利することができました。選手もマインドがCSに切り替わっていたと思います。楽天にないCSが我々にはある。ここで勝ってもう一度、福岡でやられた相手にやり返す。みんながそういうストーリーを作っていたんじゃないですか。
移動も大変でね。9月下旬から札幌―千葉―宮城―福岡―宮城と新聞に何千キロの移動だなんて書かれてね。人が階段を上がっていく時には困難が降りかかってくるもの。この移動がなかったら、もっと楽にできたのに…とか、それを言ってたら成長できない。
そうじゃなくて「できる理由」を考える。できない理由を言い始めたらキリがない。こうしたらできる、そういう思考になれば、工夫するようになるでしょう。自分の力がこれで、不足しているのがこれ、というのが分かれば創意工夫が欠かせない。戦略を立てて勇気を持って行動を起こすということが大切なんです。
例えば長距離砲が魅力のT―岡田が本塁打を増やすにはボール球に手を出していてはダメ。安達了一はゴルフでいうとドライバーで遠くに飛ばすより、グリーンを外した時のアプローチが抜群にうまいわけです。攻撃パターンも走者一塁からヒット1本で一、三塁、二、三塁にする。これを当然のようにできるようにすればランクは上がる。個が大きくなれば強くなる。それを1つにまとめてマネジメントするんです。
楽天に連勝したオリックスは80勝に到達し、ソフトバンクの勝ち数を2つ上回ったものの、勝率でわずか2厘及ばなかった。絶対にやり返すとの思いで10月11日、CSファーストステージの日本ハム戦を迎えました。初戦の大谷翔平(エンゼルス)と金子千尋のエース対決を3―6と落とし、第2戦は1点ビハインドの8回、T―岡田の逆転3ランで6―4で勝利できた。あの時の球場が揺れるようなどよめきは忘れられません。みんなが同じ打球方向を見て、歓喜に包まれた。
彼にとっても忘れられない一発になったでしょう。実はその打席の前、僕は彼に忠告していたことがありました。









