アクリル板設置のワケは――。2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪で起訴された青葉真司被告(45)の裁判が5日、京都地裁で始まった。判決は24年1月25日に言い渡される。

 青葉被告は19年7月18日午前、京都市伏見区の京アニ第1スタジオにガソリンをまいて放火し、36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた。青葉被告も全身の9割超に及ぶ大やけどを負って意識不明の重体となったが意識が回復。その後、京都府警が20年5月に逮捕し、京都地検は半年間の鑑定留置で精神鑑定などを行っていた。

 注目の裁判では大手マスコミが傍聴券を求めてアルバイトを動員することがあるが、今回は対策が取られていた。整理券がリストバンド型なのはこれまでにもよくあったことだが、傍聴券もリストバンド型で譲渡できないようになっていたのだ。

 大阪から来た会社員の女性(47)はリストバンドを見ながら「並び屋をバイトで雇えないように(傍聴券も)リストバンドにしてるんでしょうね。こんなん初めて。USJっぽい」と驚いていた。

 普段の裁判と異なる点は法廷にもあった。車いすで出廷した青葉被告の服装は上下ともに青のジャージーで髪形は丸刈りに近い短髪。その青葉被告と傍聴席の間に透明なアクリル板が設置されたのだ。アクリル板は8枚で高さは約2メートルだった。

 アクリル板については、コロナ対策ではなく、法廷内の警備のためとされている。死傷者が多く、また、京アニファンの怒りが青葉被告に向いていてもおかしくないだけに、傍聴席から物を投げられることを想定しているとみられている。

 法廷では衝撃的な内容も明かされた。青葉被告は起訴内容を認めた上で「こうするしかないと思った。現在はやり過ぎと思っている」と述べた。弁護側は心神喪失状態だったとして無罪、仮に無罪でなくても心神耗弱だったとして刑の減軽を主張している。「この事件は人生をもてあそぶ闇の人物への対抗、反撃だった」という説明もしている。

 一方、検察側は青葉被告が京アニの小説コンクールに応募したものの落とされ投げやりになったと指摘。事件1か月前には埼玉県・大宮駅で無差別殺傷事件を計画して断念していたことが明かされた。包丁8本を持って駅に向かったが未遂に終わったという。

 今後、本人の口から何が飛び出すのか。