東京電力福島第1原発の処理水を24日に海洋放出し始めて以降、福島県の旅館や飲食店を中心に日本国内へ中国を示す発信国番号から“抗議”と称するイタズラ電話が相次いでいる。参議院にも電話がかかってきたという。いったいなぜ中国はここまで過剰な反応をするのか?

 イタズラ電話のほかにも、中国では日本人学校に投石を行う人や、ネットに「日本車、日本人、日本語をしゃべるやつ、日本のアニメを見るやつを見かけたら、何も言わず刀で斬ればいい」と過激投稿する人も現れており、一歩間違えば反日運動に拡大しかねない火種となっている。

 中国政府も処理水の海洋放出を受けて、即時に日本の水産物の輸入全面禁止を発表した。国際原子力機関(IAEA)が福島第1原発に常駐してモニタリングし、科学的にも安全性が担保されているなか、どうして中国人はここまでヒステリックな反応をするのか?

 日中問題に詳しい石平氏はこう明かす。

「一番の原因は中国の若者の失業率が異常に高いことにある。若者の不満がいつ爆発・暴走してもおかしくないなかで、中国政府は処理水の海洋放出に乗じて、若者の不満が日本に向くようにわざと仕向けた。当然、IAEAによってモニタリングされて安全基準を満たしていることなど、中国政府にとって都合の悪い情報は伏せられている」

 中国政府は先月、16~24歳の若者の6月の失業率が21・3%と過去最高に達したと発表したが、北京大学の張丹丹副教授はニートを含めると、失業率は46・5%に達した可能性があると指摘している。

 中国では不動産大手の恒大集団が米ニューヨークの連邦裁判所に破産申請したように、不動産バブルが崩壊。さらにゼロコロナ政策の反動もあって、今後は日本が経験した「失われた30年」と同様の“日本病”と言われる経済の低迷が危惧されている。先行きが見通せないため、若者の雇用も安定していないのだ。

 とはいえ、内政問題への不満を日本への不満にすり替えて、イタズラ電話などの迷惑行為で憂さ晴らしされてはたまったものではない。特に中国では反日運動に火が付くと、大きな広がりを見せて日系企業や中国在住邦人の活動にも大きな影響を及ぼすだけに看過できる問題ではない。

 こうした事態を受けて、北京の日本大使館は中国のSNSでイタズラ電話は「犯罪行為だ」と投稿し、外務省も在日中国大使館の楊宇次席公使に対して「極めて遺憾」と申し入れを行った。しかし、中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国政府が極めて悪質な情報操作をして率先して扇動しているから、いくら申し入れても意味がない」と指摘する。

 一部では日本政府の対抗措置を期待する声もあるが、有効策はあるのか――。