エンゼルスの大谷翔平投手(29)が16日(日本時間17日)の敵地アーリントンでレンジャーズ戦の初回に放った異次元の42号に全米の野球ファンは騒然としている。明らかに高めのボール球を豪快なスイングでかち上げると衝撃でヘルメットは飛んで、そのまま髪をなびかせてダイヤモンドを1周した。国民的野球漫画「ドカベン」の岩鬼正美ばりの悪球打ち、フルスイングでヘルメットを飛ばす姿は現役時代の長嶋茂雄をほうふつさせる。本当に絵になる男だ。16日時点でワイルドカード圏内まで7ゲーム差と厳しい状況ではあるが、最後まで日米の野球ファンを魅了する――。

 見たこともない光景に敵地ファンもどよめいた。初回一死、1ボールから相手先発の右腕グレイが1ボールから投じた2球目、95・7マイル(約154キロ)の真ん中高めのフォーシームは見逃せば完全なボール球。上半身をのけぞらせながら豪快にかち上げると勢いでヘルメットが飛んだ。気にすることなく走り出し、3試合ぶりの柵越えを確認するとスピードをダウン。二塁ベースを回ったところで髪の毛をかき上げた。ノーヘルでのダイヤモンド1周は異例だろう。

 それにしても見事な悪球打ちだった。見送れば完全なボール球。それを岩鬼ばりのかち上げスイングで中堅左のエンゼルスブルペンに叩き込んだ。一見すれば、無理やりで打撃を崩すことが心配されるが、今季の大谷はこれが正常なのだ。

 MLB公式サイトの「baseball savant」によると、自己最多の46本塁打を放った2021年は真ん中の15本を含め43本がストライクゾーンを捉えた一発だった。高めは計7球でうちボール球が2球だった。

 しかし、今季は攻めが厳しくなっていることもあり、真ん中は7本だけ。高めが14本でうち3本が内角高めの明らかなボール球だ。また、内角低めのボール球も3本柵越えさせている。要は角度を付けることができれば、どのコースでもスタンドに運べるということ。岩鬼のように悪球もストライクなのだ。

 一方、ヘルメット飛ばしも大きな話題だ。そもそもスイングした際にヘルメットが飛ぶのは大振りや完全に体勢を崩されたときに起こるもの。現役時代の長嶋はファンに迫力を伝えるために、空振りした際にヘルメットが飛ぶように大きめのサイズを使用していた。つまり、ヘルメットが飛ぶのは悪いスイングをした空振りや凡打がほとんどなのだ。それが特大弾とは…。

 地元紙オレンジ・カウンティー・レジスターでエンゼルス番を務めているジェフ・フレッチャー記者は自身のX(旧ツイッター)で「大谷翔平が42号を放ったが、これは私が見たことがないものだった。彼はスイング中にヘルメットを失い、ヘルメットなしで塁を回った」と驚いていた。

 MLB公式サイトは全てのSNSで紹介。ユーチューブに「ノーヘルメット、ノープロブレム! 大谷翔平、今季42本目の本塁打!」と題して動画を公開すると500件以上のコメントがついている。「ヘルメットなしでとてもクールに見える!」「美しいスイング、美しい髪、美しい走り…彼を見られる有り難さと言ったら!」「この男がMLBのマイケル・ジョーダンだと思うのは俺だけか」「彼のたなびく髪はまさに空飛ぶユニコーンのような美しさ」とファンは興奮している。

 熱狂的な大谷ファンで知られるFOXスポーツでアナリストとして活躍しているベン・バーランダー氏は自身のXに「ヘルメットをかぶらずに塁を回る大谷のスローモーション」と題して編集した動画をアップしたところ、「きっと、今どこかのシャンプーブランドは欲しがっていると思うよ」と反応があった。一方、「ベン! なぜ、一番よいところ、髪の毛をかき上げている部分を切り取ったのですか」という抗議が寄せられていた。

 一挙手一投足が注目されている大谷。影響力も規格外だ。 

【ドカベン・岩鬼】1977年4月1日生まれ。神奈川県出身。常にくわえている葉っぱと学生帽がトレードマーク。守備は三塁手で打順は基本的に1番。ストライクとなるボールは打てずにボール球のみ打つという悪球打ちが代名詞。明訓高から1995年のドラフト1位でダイエー入団。2004年にFAで東京スーパースターズに移籍。右投げ右打ち。