21日に国会が閉会した。改正入管難民法やLGBT理解増進法など多くの法律が成立したが、中でも刑法における「撮影罪」の新設が注目されている。これまで盗撮は都道府県の条例が適用されることが多かったが、法律で全国一律に取り締まることにしたのだ。また、捜査の過程で見つかった性的な画像を消去できることにもなった。

 今国会では性犯罪に関する法律について大幅な見直しがあった。強制性交罪などを「不同意性交罪」に名称変更。性的行為に同意できるとみなす「性交同意年齢」を13歳から16歳に引き上げた。

 また、胸や尻など性的部位や下着などの「性的姿態撮影罪」が新設。これが「撮影罪」と呼ばれているもので、盗撮犯罪を法律で取り締まることができるようになる。

 都道府県の条例だけでは対処しきれないことがあったのだ。飛行機内で乗客の男が女性客室乗務員のスカート内を盗撮した事件の際に、盗撮したのがどこの都道府県なのか特定できず、どこの条例を適用するか決められなかったことが問題となっていた。撮影罪ができたことによって今後は対応が可能になる。

 一方で撮影罪の対象になるのが下着姿や性的部位を撮影したものと限定されていることに不安を覚える人もいる。鉄道関係者は「以前、電車内で盗撮をしたと利用客が中年の男性を連れてきたことがありました。車内で女子高生を盗撮したというのです。しかし、スマホに残っていた写真は制服を着た女子高生の全身で下着の盗撮ではありませんでした。警察に任せましたが、『取り締まる法律がない』と逮捕はできなかったのです」と明かした。

 着衣で全身なら性的な画像ではないかもしれないが、オジサンが電車内で制服姿の少女を盗撮すれば、よこしまな気持ちがないはずはないが…。ほかにもアスリートのユニホーム姿などの撮影が対象外となっており、着衣姿の盗撮についても将来的に検討されるかもしれない。

 また、画期的と指摘されているのが画像の消去ができるようになった点だ。これまでは有罪になった事件で押収された画像は消去できたが、捜査の過程で見つかった別件の画像で事件化には至らなかったものについては消去できなかった。あくまで消去するよう説得するしかなかった。

 例えば盗撮の捜査で有罪になった件に関わる盗撮画像は消去できるが、捜査中に見つかったけど事件化できなかった別の盗撮画像は返却されていたわけだ。

 これからは本人の同意がなくとも消去できるものの、穴もある。児童買春・児童ポルノ禁止法で捜査されたことのある50代男性は「私は未成年から裸の写真を買ったことで罰金刑になりました。その際に事件となった画像の消去だけでなく、ほかの関係のない画像の消去も警察から説得され、刑事と一緒に画像を選んでスマホから消しました」と話した。

 ところが、だ。後日、異変に気付く。

「刑事と一緒に消したはずの画像が残っていたのです。スマホの端末からは削除したけど、クラウドには残っていたのが原因とみられます。最初、警察はスマホの初期化を求めてきましたが、初期化が確実なんでしょうね」(同)

 見逃しがないよう注意が必要だ。