人工知能(AI)は文章、画像だけでなく音声も合成できる。そんな中、AIに有名俳優の声を合成させて、電話で詐欺を仕掛ける事件がスペインで発生した。英紙デイリー・メールが15日までに報じた。
映画製作会社がAIによって作成された英国俳優ベネディクト・カンバーバッチのクローン音声を使用する詐欺師の標的になった。スペインのマラガに本拠を置くピーボディ映画社の脚本家兼監督のボブ・ウィリアム氏にベネディクト・カンバーバッチのエージェントを名乗るジェームス・ヘイズという人物からメールが届いた。
ウィリアム氏は「メールによると、カンバーバッチが私の脚本を読んで、役柄に興味を持ったそうで、その役についてもう少し詳しく知りたいとのことでした。最も才能のある俳優の一人が私に連絡を取ってきたなんて信じられませんでした。そして、電話で話したいということで、後で電話が掛かってきました。電話先の声は100%カンバーバッチの声でした」と語る。
しかし、電話番号のケタ数が多すぎたため、疑念を持ったという。それでも、まだあまり知られていないはずの新作映画用の脚本の内容を知っていたので、本物だとして会話を進めた。
「会話で不自然なやり取りが何度かありました。さらに直接会う前に20万ポンド(約3400万円)の仮契約料みたいなものを要求してきました。怪しみつつも、どうしても直接会いたいと言っていたら、向こうが直接会うことを拒否して、終わりました。カンバーバッチの所属事務所に問い合わせたところ、ジェームス・ヘイズという人物はいないとのことでした。それにしても、そっくりな声でした。最初はモノマネの声かと思いましたが、後でAIによる音声合成の詐欺があると知り、がっかりしました。今後、AIが進化し、ますます詐欺が巧妙になるでしょうね」とウィリアム氏。
ウィリアム氏は被害には遭わなかったが、AIの音声合成を使った詐欺はすでに出始めている。サイバーセキュリティー企業マカフィーは、米国、英国、フランス、ドイツ、日本、オーストラリア、インドで、〝AI音声詐欺〟が行われたことを発見した。しかも、その詐欺の標的にされた78%の人が金銭的損失を負ったという。
現在、3秒間の音声サンプルさえあれば、AIが学習し、感情のトーンも加えて、その音声であらゆる会話をすることができる技術が確立されつつある。ますます巧妙な特殊詐欺が行われることになりそうだ。












