努力の成果が花開いた。カーリング混合ダブルス世界選手権最終日(29日、韓国・江陵)、決勝が行われて日本代表の松村千秋(30=中部電力)、谷田康真(28=北海道クボタ)組は、米国と対戦し、2―8で敗れた。それでも史上初となる銀メダルを獲得。快挙を引き寄せた裏には〝チャッスー〟が乗り越えた試練があった。

 猛者たちにひるむことはなかった。日本勢最高成績は2018、19年大会に出場した藤沢五月(31=ロコ・ソラーレ)、山口剛史(38=SC軽井沢クラブ)組の5位だったが、1次リーグを8勝1敗のB組1位で通過。準決勝のノルウェー戦で逆転勝ちを収めた。堂々たる戦いぶりに松村は「最後の最後の試合でベストパフォーマンスをすることはできなかったけど、決勝の舞台で試合することができてうれしかった。悔しい気持ちが次につながる」と充実の表情を浮かべた。

 決して順風満帆な道のりではなかった。2人は4人制と並行して混合ダブルスに取り組んできたが、22年北京五輪は世界最終予選で敗退して出場を逃し、22年世界選手権は1次リーグで姿を消した。世界の舞台で思うような結果を残せず、カーリング関係者の間では「混合ダブルスも強化していかないといけない」との声が聞かれた。

 どうしたら勝てるのか――。2人は考えた抜いた末に「混合ダブルス一本」で勝負する決断を下した。日本ではほとんど前例のない挑戦に対して、心ない言葉があったのも事実。谷田は「正直、怖かった」と吐露したこともある。それでも、谷田が22年6月にコンサドーレを退団し、松村も中部電力ではリザーブとして活動。迷いがなかったと言えばウソになるが、谷田は「言われるのは注目されている証し」と退路を断った。

 混合ダブルスに専念することで実戦機会が増加し、2人にとって大きなプラスとなった。海外ツアー等に参加する中で、谷田は「今まで知らなかった戦術やアイスの変化などを経験して、それを自分たちのプレーに落とし込めるようになった」。戦術の幅が広がっただけでなく、コミュニケーションの取り方も格段に向上した。大会前の世界ランキングは13位で発展途上の段階とはいえ、大一番で進化を見せた。

 愛称〝チャッスー〟のコンビが存在感を示した今大会。松村は「支え合って大会に挑めた」。胸に輝く銀メダルは激戦を戦い抜いた2人の勲章だ。