ジャーナリストの有田芳生氏(71)が「下関ってのは統一教会の聖地なんです」と発言したことで始まった聖地バトルに進展があった。27日に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が「下関が当法人の『聖地』として定められた事実は一切ありません」と否定コメントを出したのだ。一方で下関が「大切な場所」であることは認めている。実は同教会の聖地は日本に8か所もあるという。

 聖地発言があったのは23日投開票の衆院山口4区補選の最中だった。立憲民主党から出馬していた有田氏は、旧統一教会と自民党を巡る問題を引っ提げて同区に挑戦。同区は同教会との関係が指摘されている安倍晋三元首相の選挙区だった。

 有田氏の聖地発言はSNSで拡散され、「下関に失礼だ」などと炎上状態となった。有名人も騒動に参戦し、タレントの国生さゆりが「根拠なくヨシフさん『聖地』と言っちゃった訳だし、軽蔑するよ」というツイートには、名誉毀損の可能性が指摘されるなど芸能界にも飛び火していた。

 この件に沈黙していた同教会は27日に公式サイトで見解を発表。「下関が当法人の『聖地』として定められた事実は一切ありません」と否定した。

 一方で、「下関は、(同教会創始者の)文鮮明師が1941年に日本留学の際に初めて足を踏み入れた地であり、文師の足跡を信徒が慕わしく想起することはありますが、今回のように事実とかけ離れた形で騒ぎとなったことは極めて残念です」と、ゆかりの地であるとも指摘している。

 同教会の幹部が2021年に「下関は聖地と同等の場所です」と発言したことがある。これについては「『聖地と同じくらい大切な場所』であることを言い表したに過ぎず、下関が当法人の聖地であることを意味する内容ではありません」と説明した。

 見解が発表されるとネットでは「デマだった」「はしご外されたな」と有田氏への批判が多くなったが、同時に下関が「聖地と同じくらい大切な場所」と表現されていたことに、「やべぇ」「つまりどっちなんだ」「それは聖地とどう違うん?」と困惑する人もいた。

 有田氏はどう受け止めたのか。同氏は「こんな敏感にコメントをしてくるとは予想外でしたね。聖地だと何か困ることがあるんでしょうか」と首をかしげた。

「下関は文鮮明が初めて来日したところで、方相逸・神日本大陸会長が下関を『聖地と同等』と言ったことは否定できない。(下関が)安倍氏や自民党との癒着の原点となっているから否定しないと都合が悪いと思ったのではないか」(同)

 ほかにも気になる記述があった。同教会が発表した見解では、「文鮮明師は、1965年に来日された際、東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・札幌・仙台(選定順)の8カ所に『聖地』を定められました」と正式な聖地が羅列されていた。ネットでは「日本に8か所も聖地作ってることの方が問題」「8か所もあったんかい」と驚かれている。

 有田氏は「それらの聖地は文鮮明が決めており、明治神宮や青葉城などがそうです。日本の大事なところを支配していくという意味合いで聖地にしたのです」と指摘した。ほかは名古屋の東山公園、大阪城、高松の屋島公園、広島城跡、福岡の西公園、北海道神宮となっている。

 もはや下関どころの話ではないではないか。聖地バトルは拡大の一途をたどっている。