男女問わず、各団体から引っ張りだこの女子プロレスラーがいる。“傾奇者(かぶきもの)”ことウナギ・サヤカだ。女子プロ界の盟主「スターダム」の中心選手として活躍していたが、昨年10月に他団体を主戦場とする「ギャン期」に突入。全日本プロレス、ゼロワン、GLEAT、センダイガールズ、マーベラスなどで暴れ回り、連日話題を呼んでいる。物おじしない言動で“あのレジェンド”も認めさせたお騒がせ者は、何を目指しているのか――。

 ――他団体にケンカを売り始めたきっかけは

 ウナギ 去年、(スターダムのリーグ戦)「5★STAR GP」で、12試合のシングルのうち2勝しかできなかった。その前の年は敢闘賞を取ったので、その分プレッシャーに縛られていたし、後輩ができて自分以外のことでやらなきゃいけないことが増えた時期だったんです。試合で勝たなきゃって思う半面、自分らしいことが何もできてなくて空回りしてた。それで何かやらないとヤバイなって思ってギャン期に入りました。

世界へ飛び出せ!
世界へ飛び出せ!

 ――ギャン期の感想は

 ウナギ スターダムにいる時は何やっても怒られてたんですけど、今は怒る人がいないので、思ったことができるっていうのが楽しい。今までは(中野)たむさんに迷惑かけちゃうからとか、後輩の月山(和香)もいるしとかで遠慮があった。今は裸一貫で突き進んでる感じが楽しいです。

 ――一番印象に残ってる試合は

 ウナギ ありすぎて選べないな…。最初は「もしかしたら明日から試合がなくて、ホームレスになるかも」っていう不安があったんです。でも、ギャン期が始まってすぐのディアナの後楽園大会(昨年10月16日)で神取忍さん、井上貴子さん、井上京子さん、タイガー・クイーンが対角にいて。神取さんも貴子さんも京子さんも私が見てきた世界を2、3周ぐらい多く見てきた腹をくくりきった人たち。その人たちと戦った時に、器の大きさと覚悟の違いを感じて、とにかくこの人たちを追いかけなきゃいけないと思った。

 ――レジェンドの存在は大きかった

 ウナギ 出てきただけでお客さんからの「待ってました」みたいな期待の声に圧倒された。ひっくり返すには、コイツらに勝たないと何も始まらないんだなって。とりあえず「ウナギはすごい」って言わせなきゃいけないと覚悟しました。怖かったけど、「神取、来いよ!」って言った時の会場のざわざわ感がめちゃくちゃ気持ちよかった。

 ――大変だったことは

 ウナギ ないですね。見えなかった世界が見えて面白いし充実してます。去年の10月の自分がまさか井上京子さんと試合して、ジャガー横田さんに鼻を折られて、鈴木みのるさんと戦うとかファイプロ(プロレスを題材にしたゲーム「ファイヤープロレスリング」)並みのドリームカードで戦っているなんて信じられない。

 ――鼻を折られたって

 ウナギ とりあえず曲がった鼻を戻さないと血が止まらないので、試合中に自分で「ガッ」って戻したら、さらに血が出てきて。でも、あれがあったから、ジャガーさんにも「ただやーやー言ってるだけだと思ってたけど、鼻折れても泣き言も言わずに試合して、その後、アジャ(コング)さんに乗り込んで、まあまあ気合あるわね」って認められたので、よかったなって思ってます。

 ――他団体で感じたことは

 ウナギ スターダム1強っていうのをみんながあきらめてるというか。だから、私がその1強時代を終わらせたい。昔のプロレスって対抗戦が面白かったのに、1強じゃ対抗戦ができないじゃないですか。今はプロレスファンの取り合いだけど、プロレス好きな人を増やさないことには話にならない。プロレスを知ってもらって、見にきてもらうハードルを越えさせられるプロレスラーになりたいと思いました。

全日本では諏訪魔と抗争を繰り広げる
全日本では諏訪魔と抗争を繰り広げる

 ――今後の野望は

 ウナギ 東京ドームとか大きい会場の興行で、会場の外に入りきれなかったお客さんがいっぱいいる、みたいな光景を見てみたい。来月には海外での試合も決まっているので、海外からお客さんをたくさん連れてきます。世界のウナギになる! あとは今の時代、ワンマッチで見せられる試合はないじゃないですか。藤波辰巳VS木村健吾の伝説のワンマッチ興行(1987年1月14日、後楽園ホール)みたいなのをウナギ・サヤカ対誰かでやりたい。これからその相手を全世界に探しにいきたいと思います。

 ――先日「株式会社ウナギカブキ」の設立を発表した

 ウナギ スターダムを飛び出したレスラーが社長になるって夢があるじゃないですか。「プロレスラーになったらこんなに稼げるよ」っていうのを見せたい。すあま(全日本プロレスの諏訪間幸平)は専務なので、超えた存在になりましたね。そういえばオカリン(新日本プロレスのグレート―O―カーン)、最近おとなしいけど、息してるのかな? ウナ、社長になったから雇ってやってもいいぞ。暇なんだろ?

オーカーンから連絡先交換を迫られたことも
オーカーンから連絡先交換を迫られたことも

☆ウナギ・サヤカ 大阪府出身。学生時代はアーティスティックスイミングで活躍し、チアリーディングでは全国優勝。羽渚さやか、卯渚さやかの名でアイドル活動をした後、2019年1月にはうなぎひまわりのリングネームで東京女子プロレスでデビュー。退団後の20年11月にスターダムマットに登場し現在のリングネームになった。22年10月から、他団体を主戦場にする「ギャン期」と称し活動している。得意技は大儀であった(変型ドライバー)。168センチ、54キロ。