【プロレス蔵出し写真館】今から40年前の1982年(昭和57年)9月21日、新日本プロレスの大阪府立体育会館に集まった超満員9000人の観客は、メインのアントニオ猪木 vs ラッシャー木村のヘア・バンド・マッチ(敗者が髪の毛を切られる)をいまや遅しと待っていた。
そんな館内の喧騒をよそに、荷物置き場の倉庫の片隅に若手の高田伸彦(後に延彦)と仲野信市がいた。高田の手前には両足と後ろ手にロープで縛られた若者が座らされていた。そしてもう一人は縛られている最中(写真)。
若者2人は観客。汚いヤジを飛ばしたため、ここに連れて来られ隔離された。この2人がメインまでに解放されたかどうかは不明だ。
全日本プロレスでは、若手がタチの悪い客をグレート小鹿のもとに連れて行き、〝ありがたい〟説教を正座させられ長時間聞かされたという話もあるが、新日本は過激だった。
船木誠勝は自身のユーチューブで「変なヤジを飛ばした客はケロさん(田中秀和リングアナ)が『あいつをつまみ出せ!』と言って、若手が走って行って客の襟首をつかんでつまみ出した。(獣神サンダー・)ライガーさんはすごかった。エレベーターまで引きずって行ってエレベーターにポーンと(客が)押されて『二度と来んな!』。お客さんに対して二度と来んな! そう言ってエレベーターに乗せて帰して行く…と。そのぐらい昔の新日本プロレス怖かったです。ヤジなんか飛ばせません」と語っていた。
新日本ではいつからか暗黙の了解として、汚いヤジが目に余る客、選手にちょっかいを出す悪質な客を若手が会場からつまみ出していた。時には手やヒザが出ることもあったと、当時の若手は言う。
「最初は『汚いヤジをやめてもらえませんか』と注意します。それでもやめない客は、裏へ連れて行ってつまみ出しますね。ただ、時に揉めることもあって…」。そう声をひそめる。
「(名古屋)愛知県体育館での話ですけど、ある時、高田が前田(日明)さんに命じられて3階席でヤジを飛ばす3人組に一人で注意しに行きました。そして、裏へ連れて行く時に小突いてしまい、3人組が騒ぎ出したんですよ。『納得できない。帰ってやるけど、一発殴らせろ!』って」。修羅場になったという。
「その後? 騒ぎを聞きつけて駆けつけた前田さんが、仲裁に入りました。高田に、『おまえ、手出したんだから殴らせてやれよ』って、まさかの提案でした。結局、高田は渋々、一発殴らせてました。頰を押さえてふて腐れてましたね。ふくれっ面してセコンドに就いてました」と、ことの顛末を明かす。
ところで、新日本で若手が客をつまみ出していたのは昭和、平成中頃まで。コンプライアンスが問題視される現在は、当然、手を出すのはご法度。動画を拡散され叩かれるのがオチだ。
また、観客のほうも声出し観戦が可能になった今、棚橋弘至が数年前に語っていた「不快なヤジは控えるべき」が観戦マナーだろう(敬称略)。













