阪神・岡田彰布監督(65)が17日、西宮市内の鳴尾浜球場で阪神・淡路大震災の被災者慰霊のために黙とうをささげた。

 震度7の巨大地震の天災が兵庫、大阪を中心とした関西圏で起きてから28年。「俺はあの時は(現役)最後の時やったからな、オリックスで。もっとひどいところにおったから」と、震災とその後に起きた幾多の〝困難〟をしみじみと振り返りつつ、半旗が掲げられたグラウンドで1分間、静かに目を閉じた。

 当時は労働組合日本プロ野球選手会会長を務めていた。「もう今だから、あれやけど…」。当日は組合の事務局長だった松原徹氏(故人)とともに、前年から球団との契約交渉が難航していた近鉄のエース・野茂英雄投手と、大阪市内のホテルで会う予定があったという。結局は「会いに行けるような状況じゃなくなった」と震災の影響で、会談はキャンセルになったという。

 直後に野茂氏は近鉄を退団し、米球界に挑戦。メジャーリーグでの大活躍で、日本だけなく全米をも巻き込んだ「トルネード旋風」を巻き起こした。もし当日に平穏無事なまま会談が行われ、野茂氏の心境に何かしらの〝変化〟を与える機会となっていたら…。

「それはもう忘れられへんな。こっちに住んでいたら、忘れない一日だったからな。あれはな…」。犠牲になった人々へ祈りを捧げつつ、自らの〝幻の業務〟を慎ましく振り返っていた。