〝先輩横綱〟の期待に応えられるか。大相撲初場所5日目(12日、東京・両国国技館)、大関貴景勝(26=常盤山)が幕内玉鷲(38=片男波)を一気に押し出して4勝目(1敗)。全勝の平幕3人を1差で追走している。今場所はハイレベルな成績での優勝なら綱取りの可能性がある中、貴景勝も気合十分。さらに、綱を張った者だけが参加を許される「横綱会」からの〝勧誘〟も本人の闘志に火をつけている。

 貴景勝が玉鷲を下して1敗を堅守した。立ち合いで呼吸が合わず、4度目で成立。頭で当たって力強いハズ押しで前へ出ると、休まず攻め続けて一気に押し出した。審判長の粂川親方(元小結琴稲妻)は待ったを繰り返した両力士に口頭で注意を与えたことを明かした上で「いい相撲だった」と大関の相撲内容を評価。貴景勝は報道陣の取材に応じず、国技館を後にした。

 昨年11月の九州場所は12勝3敗で優勝決定戦に進出。賜杯には届かなかったものの、優勝に準ずる成績(優勝同点)を残した。横綱審議委員会は今場所でハイレベルな成績での優勝を果たせば、綱取りもあり得るとの認識を示している。貴景勝自身も「チャンスは何回も来ない」と闘志を燃やす中、さらにモチベーションを高める出来事があった。

 昨年12月19日、元横綱の親方と現役横綱が親睦を深める「横綱会」が3年ぶりに都内で開かれた。角界内でも番付の頂点を極めた者だけが顔を揃える特別な集いとして知られている。その横綱会がお開きになると、宮城野親方(元横綱白鵬)と二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の2人が同じ日に開かれていた別の会合に〝サプライズ〟で飛び入り参加。その場には、綱取り挑戦を控えた貴景勝の姿があった。

 両親方はそれぞれマイクを握ると、貴景勝に向かって「必ず次の横綱になれる!」「横綱会のメンバーに入ってほしい」などと激励。歴代最多の優勝45回を誇る大横綱と、絶大な人気を博した和製横綱からの熱いエールに会場は大盛り上がりとなった。会合の出席者によると、貴景勝は「頑張ります」と決意を口にしていたという。

 果たして、貴景勝は〝先輩横綱〟たちの期待に応えることができるのか。綱取りの機運を高めていくためには、残り10日間で取りこぼしは許されない。千秋楽まで気の抜けない戦いが続くことになりそうだ。