ついに〝覚醒〟か。大相撲初場所4日目(11日、東京・両国国技館)、元横綱朝青龍(42)を叔父に持つ関脇豊昇龍(23=立浪)が幕内玉鷲(38=片男波)を寄り切って4連勝。三役以上で唯一の勝ちっ放しでロケットスタートを切った。初優勝と大関取りを視野に入れるサラブレッドの勢いは本物なのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(38=本紙評論家)は2人の横綱の名前を挙げながら好調の要因を分析した。

 豊昇龍が玉鷲を一気に寄り切って4連勝。取組後は「しっかり自分の相撲を取り切った。集中できている。動きもいいし、前に出ている」と納得の表情を浮かべた。昨年11月の九州場所は三役では自身初の2桁白星(11勝)をマークし、大関取りの起点づくりに成功。今場所は足場固めと初優勝を狙う中、序盤戦で見せている勢いは本物と言えるのか。

 秀ノ山親方は「日馬富士(元横綱)のような瞬発力がある。立ち合いだけではなく二の矢、三の矢もスピードがあって、相手がついていけないぐらいに速い。スピードで翻弄しながら先手、先手で攻めて相手の力を出させないうちに勝負をつけている」と分析する。この日は玉鷲にいなされる場面もあったが、素早く懐に入り込んで反撃の余地を与えなかった。

 また、持ち前のスピードに加えて、今場所は自己最高の146キロに増量した点もプラスに作用しているとみる。「立ち合いの強さは『速さ×重さ×当たる角度』で決まる。スピードが速くても軽かったら結局は圧力負けする。体重が増したことで速さとの相乗効果が生まれていて、立ち合いの角度にも低さがある。3つの要素のバランスが取れている」と指摘した。

 さらに、叔父の元朝青龍をほうふつとさせる闘志あふれる姿も、豊昇龍の大きな魅力の一つだ。秀ノ山親方は「勝負に対する執念だったり、相撲が終わって勝ち名乗りを受ける時の顔つきだったりは、朝青龍関とイメージが重なりますよね。〝優勝〟という2文字を意識して、そこに向かっていく強い意志を感じる」と現役時代に対戦した元横綱と重ね合わせた。

 まだ序盤戦とはいえ、三役以上の力士で勝ちっ放しは豊昇龍ただ一人。このまま順調に白星を積み上げていけば、かねて目標に掲げる初優勝も現実味を帯びてくる。秀ノ山親方は「大関につながる2桁はかなり期待が持てるだろうし、今場所の優勝争いを引っ張っていく存在になるのでは」と予測した。

 今場所は横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)が休場し、一人大関となった貴景勝(26=常盤山)の下に4関脇4小結がひしめき合う。群雄割拠の戦国場所で、豊昇龍が「主役」に踊り出る可能性も十分だ。