フィギュアスケート男子の世界王者・宇野昌磨(25=トヨタ自動車)は、新たな境地に立っている。

 全日本選手権2日目(23日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)の男子ショートプログラム(SP)に臨んだ宇野は、公式練習内でリンクの状態を確認。「スピードが出ない。そこで無理に出すと失敗すると思った。出ないなら出さずにジャンプを跳ぼうと思った」。抜群の対応力で4回転フリップ、4回転―2回転の連続トーループ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を着氷させ、国際スケート連盟(ISU)非公認ながらも今季世界最高得点の100・45点をマークして首位発進を決めた。

 かつての宇野は「1つの試合にかけてきた思いが強かったので、すごく落ち込んだことがあった」というが、場数を踏む中で「失敗もいい経験になるのが分かった。スケートを苦しまずにやることができるようになった」。だからこそ、最後のスピンでミスがあっても「自分の最高のコンディションでのSPと比べるとまだできなかったところはあるが、今日できる最大限ができた」と手応えを口にするなど、ポジティブ思考でスケートと向き合えるようになった。

 数年前は「スケート人生はもう長くない」と思っていた。しかし、今は違う。

「いつやめようとも思っていないし、いつまでやろうと思っていない。短いかもしれないし、長くなるかもしれないが、そのようなメンタルで試合に出ている」

 結果ではなく進化にこだわる。納得するまで、宇野はスケート道を歩み続ける。