【FIFAワールドカップ】森保ジャパンの新たなヒーロー、MF堂安律(24=フライブルク)が飛躍した裏には〝チャラいインスタ禁止令〟があった。堂安はカタールW杯1次リーグで優勝候補のドイツとスペインから値千金の同点ゴールを奪い、決勝トーナメント進出の立役者に。夢の舞台での大活躍は、くすぶっていた時に師匠から受けた厳しいゲキがキッカケになっている。

 快進撃を続ける森保ジャパンで象徴的な存在となっているのが堂安だ。

 11月23日に行われた初戦のドイツ戦、そして1日のスペイン戦といずれも優勝候補の強豪から値千金の同点弾。堂安の一発をきっかけにチームが勢いに乗るパターンは勝利の方程式となっており、スペイン撃破の後には「今の堂安律は危ないんでね」。すっかりエースの風格を漂わせている。

 そんな堂安を大きく成長させた出来事がある。

 2019年夏にオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍。しかし、思うように出場機会を得られず不本意なシーズンを過ごしていた時に、個人トレーナーとして指導を受ける元陸上短距離日本代表の杉本龍勇・法政大教授(52)から〝叱責〟を受けた。

「一回説教じゃないけど、お小言をね。チームでそこまで活躍していないのに、なんかSNS上では目立っているというね。『お前サッカー選手になりたいの? それとも若者の単なるSNS上のアイコン(象徴)になりたいの?』という話をした」と杉本氏は明かす。

 そのころの堂安は東京五輪のエースとしてファンからの注目度も急上昇し、ピッチ外でも人気者に。自身のSNSでもフォロワー数を伸ばそうと、サッカーと関係のない派手な私生活の一面を強調するような投稿が増えていた。

 杉本氏は、不振にもかかわらずSNSにばかり気を取られる堂安の姿を危惧。「レギュラーを張って活躍して、サッカー選手として地に足がついた状態になって確固たる地位を築かないと。『どっちのほうが自分の中で大事なのか、ちゃんと考えなさい』という話をした」とSNSの利用法を見つめ直すよう〝指導〟した。

「そうしたら、ものの見事にその次の日にチャラかったインスタの写真は全て削除されていた(笑い)」と猛省した堂安はすぐさま行動に移し、浮ついた投稿とは決別したという。

「それが効いたのか、次のシーズンは選手として実直に、サッカーに心血を注いだ。それがよかった」と杉本氏は指摘。堂安はその後にレンタル移籍したドイツ1部ビーレフェルトで不動のレギュラーとして5得点をマークするなど復活。ドイツで通用する手応えをつかみ、今季は強豪フライブルクで活躍してW杯の舞台につながっている。

 杉本氏は「SNSなんかやってなくても(米大リーグで活躍した)イチローとか松井秀喜は必ずリスペクトされる存在として出てくる。誰もが認めるパフォーマンスを出すことが大前提。芸能人ならいいかもしれないが、本業は違うところにあるのだから」と強調。才能がありながら周囲にチヤホヤされて自身を見失って消えていく選手も多い中で、師匠からの喝が堂安を大舞台で輝かせた。