カタールW杯の開幕が20日に迫る中、驚がくの開催費用が物議を醸している。今大会に関連する費用は膨張し続けて、最終的に3000億ドル(約42兆円)に達することが確実に。昨夏の東京五輪の約30倍、日本の国家予算の約40%にあたる札束が乱れ飛んでいる。その裏で苦しむ労働者の人権問題もくすぶり続けており、大会を巡る波紋は拡大する一方だ。
カタールW杯を取り巻くカネは、すべてがケタ違いだ。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ紙「カリージュタイムズ」は「今回のW杯の総インフラ支出額は、最大で3000億ドルという驚くべき見積もりが示されている」と報道。以前から欧米メディアなどでその可能性が指摘されていたが、開幕を控えて天文学的な数字に費用が膨らむことが確実になった。
昨夏に開催された東京五輪大会経費1兆4238億円の約30倍、日本の2022年度国家予算110兆3000億円の約40%にあたる超巨額マネーが今大会に向けてつぎ込まれているのだ。
同紙は支出の一端を「きらびやかな新しいスタジアム整備に65億ドル(9100億円)以上が費やされ、運転手不要のメトロシステムに360億ドル(約5兆円)がかかった」と分析。他にもインフラ整備に莫大な資金が投入されている。その無尽蔵の資金力を「カタールの豊富な天然ガスが、サッカーの祭典を支払うための底なしの財布を与えた」と皮肉交じりに伝えた。
こうした途方もない支出は物議を醸しており、英紙「エコノミスト」は「スタジアムは設置されるが(国民のための)ベッドは設置されない。一部の地元住民は、この大会に3000億ドルの価値があるかどうか疑問に思っている」と指摘。W杯やそれに伴うインフラにばかりカネがまわされ、移民を中心とした地元住民は利益を享受できず、不満の声が上がっているというわけだ。SNS上でも「このW杯はめちゃくちゃだ」などと糾弾する声があふれている。
大会を巡る人権問題も深刻さを増している。英紙「ガーディアン」が「W杯の開催決定後に6500人以上の移民労働者が死亡し、37人がスタジアム建設に関わっていた」と報じて以来、世界から批判が殺到。開幕が近づくにつれて現地でも人権問題に関する動きが活発化しており、14日には数千人の移民労働者がドーハで集会を開催し、19日には英国のカタール大使館付近で、人権団体による大規模なデモも予定されている。日本サッカー協会の田嶋幸三会長も「人権の問題や差別などにわれわれは反対の立場を取っている。このカタールで起こっている事実はW杯を契機に改善していかないと」と危惧する。
キナ臭いムードの中で、いよいよ中東初のW杯が幕を開ける。











