これが女王の生きざまだ――。スピードスケートの全日本距離別選手権2日目(長野・エムウェーブ)、女子500メートルが行われ、現役ラストレースに挑んだ平昌五輪同種目金メダルの小平奈緒(36=相沢病院)は、37秒49をマークして8連覇を達成。北京五輪同種目銀メダルの高木美帆(28=日体大職)を0・69秒差で下し、有終の美を飾った。

 最後の最後まで〝小平奈緒〟を演じきった。長野五輪をテレビで観戦し、五輪への夢が芽生え、スケートに全てを費やしてきた。関係者いわく、長野五輪以来となる満員でのレース。夢舞台で計3個(金1、銀2)のメダルを手にした小平は、万来の拍手の中で滑り切った。ゴール後にはガッツポーズを見せ「五輪でメダルを取った時よりも、世界記録に挑戦した時よりも、ずっと私にとって価値のあるものだったなと感じた。人生で初めて鳥肌が立ったのが長野五輪だったが、鳥肌を超えて、心が震えて飛び出てきそうな感じだった」と神妙に語った。

 4月に今大会限りで現役を退く意向を明らかにした。しかし、この日のラスト1本を完璧に滑り切るべく、例年通りの練習を積んできた。目標は「過去の自分を超えること」だった。自己ベストには届かなったものの「もっと涙でいっぱいになるのかなと思っていたけど、すごく楽しかった。(ゴール後の涙は)うれし涙です」と晴れやかな表情で振り返った。

 スケートとともに歩んできた人生。スケートがあったから〝小平奈緒〟という人間がいる。

「自分の人生の中で、ここまで成長させてくれたのがスケート。スケートをきっかけに、多くの人と関わり合って、ここまで続けることができた。本当に感謝の二文字では収まりきらない。ありがたいなという気持ちでいっぱいです」

 今後についてはあくまで構想中の段階だが、父・安彦氏は「奈緒の人生なので、親は遠くから見守るだけ。どう進んでいくのか楽しみ」と話すように、小平をサポートする周囲の姿勢は不変。次なるステージでも最高の輝きを放ってくれるに違いない。