第2のウォーカーを探せ――。いよいよシーズンも佳境を迎え、水面下では各球団とも来季に向けた編成に動いている。そんななか巨人1年目で米独立リーグ出身のアダム・ウォーカー外野手(30)の活躍が各球団の助っ人獲得に新たなトレンドを生み出しているという。いったい何が起こっているのか。

 17日の阪神戦(東京ドーム)まで試合日程が3日間空いた巨人は14日はジャイアンツ球場で一軍全体練習を行った。イースタン・西武戦(カーミニーク)に出場した選手を除くナイン全員で外野を走ると、キャッチボール、打撃練習などに汗を流した。原監督は「まあメリハリ的なものはつけられると思う」とシーズン最終盤での空き日を歓迎した。

 そんななか打撃練習でピンポン玉のように打球を飛ばすなど、元気だったのがウォーカーだ。打撃不振で8月に二軍落ちも必死の努力で11日間で一軍復帰。ここ2戦3発と絶好調で出場113試合で打率2割7分7厘、23本塁打、52打点の活躍を見せている。

 米独立リーグで2年連続本塁打王、MVPを獲得したウォーカーだが、メジャーでの出場経験はゼロ。送球に課題があり推定年俸3400万円で獲得した〝格安助っ人〟が日本で花開いた。

「巨人のウォーカーの成功により、各球団とも外国人選手の獲得範囲が広がった。メジャー実績がなくても、野手なら長打力、投手ならスピードなど欠点に目をつぶれるだけの秀でた能力を持つ選手を発掘する方向に向かっている」と在京球団関係者は明かす。

 言うなれば「第2のウォーカーを探せ」状態。もちろんメリットは多い。東京ドームで試合に出場したウォーカーが「こんなにお客さんの入った球場でプレーするのは初めて」と話したように、独立リーグ出身の選手にとってNPBは夢舞台。ハングリー精神は旺盛で、練習にも真面目に取り組むため成長も見込める。

 社会情勢も助っ人補強に変化を求めている。各球団とも急激な円安による影響を無視できないという。昨年9月の平均が1ドル110円台だったのに対し、今年は14日時点で1ドル143・19円。単純計算で米ドルでの支払いは約30%も〝値上がり〟している。

「メジャーの一線級を獲得しようにも、費用がはね上がっている。球団は外国人選手獲得用に、ある程度は米ドルをプールしているが限度がある」と前出の関係者は嘆く。

 そのため助っ人の〝捜索範囲〟は米独立リーグはもちろん、中南米の地域リーグにまで広がっているという。果たしてダイヤの原石たちが大挙、来日となるのか注目だ。