ロシアのウクライナ侵攻で、最高位の将校が捕虜となり、厳しい戦況が浮き彫りとなっている。

 米シンクタンク「戦争研究所」は12日までに、ウクライナ軍が東部ハリコフ州のロシア制圧地域のほぼ全域を奪還したとの分析を発表した。

 2月にロシアがウクライナに侵攻してから200日となる11日に、ウクライナ軍はこれまでで最大とみられる反攻の成果を上げた。同州の要衝イジュムを取り戻したことで、ロシア軍が目標とする東部ドンバス地域全域の掌握は困難になったとみられる。

 それだけではない。「第2次世界大戦以降、最高位のロシア将校を捕虜にした」ことが話題になっている。複数の欧米メディアが大きく報じている。

 捕虜になったとされているのは、ロシア軍の西部軍管区司令官であるアンドレイ・シチェヴォイ中将だ。

 ウクライナメディアの「リビウ・ジャーナル」はその動画を公開。ウクライナメディアは「捕虜は中佐の階級章をつけているが、それは佐官に変装して逃げようとしたためだ。捕虜となったのはアンドレイ・シチェヴォイ中将であり、第2次世界大戦以降に捕らえられた中で最も高位のロシア将校であると考えられている」と報じている。

 各国メディアが中将の制服を着たシチェヴォイ氏と今回の捕虜の顔を比較し、「ロシア軍とウクライナ軍は12日時点で正式発表していないが、中将に間違いない」と伝えている。

 これまでもロシア軍将官の狙撃による戦死が相次いでいたが、捕虜になることはほとんどなかった。将官などの司令官は後方の安全な場所にいるからだ。それが生きたまま捕らえられたということは、ロシア西部軍が相当に壊滅的だということになる。