ゴルフ界ではサウジアラビア政府系資本が支援する超高額賞金の新ツアー「LIV招待」が話題の中心になっている。既存の米ツアーやDPワールドツアー(欧州ツアー)は対決姿勢を鮮明にしている中、海外メジャーを制したビッグネームも参戦する「LIV招待」とはどんなツアーなのか。取り巻く状況を改めて検証するとともに、日本ゴルフツアー機構元会長の小泉直氏(83=現顧問)が今後の見通しを予測した。

 元世界ランキング1位のグレッグ・ノーマン(67)がCEOを務める「LIV招待」は、6月に英ロンドン郊外で開幕戦を行った。その後は米本土に舞台を移し、すでに2戦を消化。ゴルフ界の新興勢力にフィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン、ブライソン・デシャンボー(いずれも米国)ら有名選手が続々と出場していくのは、なんといってもお金の魅力だろう。

 選手によって差はあれど、参戦時には巨額の〝契約金〟が手に入る。ミケルソンは2億ドル(約274億円)とも報じられた。大会賞金も破格でメジャーを上回る。個人戦優勝の400万ドル(約5億5000万円)に、4人一組のチーム戦の賞金(優勝チームには300万ドル=約4億1000万円)も加わる。しかも各組一斉スタートの3日間54ホールで男子ツアーの標準(4日間72ホール)より少なく、予選落ちもない。緩やかな日程で負担を軽減できる上に、予選落ちの賞金ゼロも回避できる。

 選手にとって理想に近いツアーと言えそうで、今週のポイントランキング上位30人が出場できる米ツアー今季最終戦「ツアー選手権」(25日開幕、ジョージア州)後には、さらに7人が新ツアーに参戦すると複数の米メディアが報じている。7月の「全英オープン」覇者キャメロン・スミス(オーストラリア)が筆頭候補として挙がり、米ゴルフジャーナリストのダン・ラパポート氏は自身のツイッターで松山英樹(LEXUS)の可能性にまで言及した。

 そんな「LIV招待」に対して既存の勢力は既得権益を脅かされかねず、特に米ツアーは徹底抗戦の構え。転向組を即座にツアー資格停止処分にするなど、両ツアーの〝いいとこ取り〟を許さない姿勢を強く打ち出している。また、タイガー・ウッズ(米国)も新ツアーには否定的で、選手流出を阻止するためにトップ選手が集まるミーティングを招集したとも伝えられた。

 さらに、人権問題を抱えるサウジアラビアから高額資金が流れている構図は、ゴルフ界以外からも批判的な見方が強まっている。新ツアーを巡って不透明な状況が続く中、これからどんな道をたどっていくのか。海外ゴルフ事情にも詳しい小泉氏は、その行く末に懐疑的な見方を示している。

「(LIV招待に)行くのはミケルソンやジョンソンらお金で動く選手だけでしょう。権威を重んじる本来のゴルフの精神を持つ選手は、そっちに行きません。ですから長く続くとは思えません。1年後が見ものですね。ジョンソンやデシャンボーらが頭を下げて(米ツアーに)戻ってくるんじゃないですか」

 すでに来年は今年の8試合から世界各地で行う14試合に規模を拡大し、賞金総額4億500万ドル(約555億円)で実施すると発表されたが、これが〝全盛期〟となってしまうのだろうか。