今月で2年の任期を終える日本医師会の中川俊男会長が16日、日本記者クラブで会見を行い、新型コロナウイルスとの戦いだった2年を振り返った。現在行われている会長選には立候補せず、1期で退任する。政府の目玉施策「GoToトラベル」に厳しい意見を放つ一方、スキャンダル報道も。そんな中川氏に対する評価は…。

 中川氏はこれまでを振り返り、「失敗したなーということはない。力不足だったなーというのはある」と反省の弁も述べた。就任が決まった当時は「政府に対しても言いづらいこともハッキリ言っていく」と息巻いていたが、再選出馬を辞退せざるを得なかった。

 医師会関係者はこう明かす。

「改革派を自任する形での船出だったが、政府と『GoToトラベル』でバチバチやるなど、政治力を発揮できなかった。昨夏の東京五輪でも祭典ムードに水を差す医療崩壊危機を唱えて政府と対立。間違ったことを言っているとは思わなかったが、対立する場面が多すぎたのも政治力を発揮できなかった原因。結果、昨年末の診療報酬改定では日本医師会の完敗と言うべき内容となった」

 週刊誌スキャンダルも中川氏の立場を揺るがした一因だった。コロナ感染防止を呼びかける立場にありながら、政治家の資金パーティーへの参加や女性との寿司デートが報じられ、国民の怒りを買った。

 外部識者で医学博士の防災・危機管理アドバイザー、古本尚樹氏は問題点をこう指摘する。

「新型コロナ禍で治療に当たっていたのは大学病院や高度医療機関ばかりで、医療従事者の不足が叫ばれていた。こうしたところの補完を開業医の組織として求められていたと思うが、いまひとつまとめきれずに効果的なことはできなかった。歴史的に開業医と勤務医の間には意識のズレが存在し、それぞれが連携を取ることは容易ではないといわれるが、新型コロナ禍こそ、何とか手腕を発揮すべきだったのではないか」

 会見で「最も力を入れたこと」と語ったワクチン接種も「おそらく日本医師会が目指した形ではなかったはずで、『最も力を入れた』と言うわりには反省点も多い」(古本氏)。課題は次期会長へ持ち越される。