阪神は5日の中日戦(ナゴヤドーム)に1―0で辛勝した。敵地で今季初のカード勝ち越しを決めて3位に浮上したが、その原動力となったのは2試合連続の完封リードを決めた原口文仁捕手(24)だ。先月末まで育成選手だったプロ7年目の苦労人が今や“シンデレラ男”として注目の的だが、この日の活躍の裏には、7回無失点でリーグトップタイの4勝目を挙げたメッセンジャーとの「同期愛」があった――。

 5度目の先発マスクとなったこの日の試合は金本監督の強い推薦で巡ってきたものだった。「これから原口はメッセとも組ませていかないといけないと思って、矢野コーチに言ったらその通りの返事をくれた」。今季、ここまでメッセンジャーと全試合でコンビを組んだのは12年目の岡崎だったが、攻守にわたって目覚ましい活躍を見せる原口を選択。これがハマり、前日4日の試合に続いて2戦連続0封劇を呼んだ。打ってもマルチ安打を決めるなど、一軍選手登録後は8試合に出場して17打数9安打、6打点、1本塁打、打率5割2分9厘(5日現在)と打ちまくっている。

 どん底から見事に這い上がってきた“虎のシンデレラストーリー”だが、この日の活躍の裏には来日7年目のメッセンジャーへの思いがある。「下にいる時はずっと『一軍でメッセの球を受けたい』と思っていた。年齢とかは全然あっちが上だけど、僕は同期入団っていうのは特別だと思っている。どんどんすごみを増すメッセの球を、一日も早く上で受けたいって思った。7年越しでかないました。“同期バッテリー”で勝てた。だから今日は僕にとって特別な試合なんです」。腰の故障禍にもくじけず、心を支えてきたのが入団1年目から「目標」にしてきた同期メッセとのコンビ結成。7年越しの思いがあったからこそ、好リードでもり立てる準備はすでにできていたという。

 メッセといえば不調や不運で集中力を欠くなど、メンタル面でムラがあり“操縦”が難しいとされていた投手だが、原口は育成時代から右腕の特徴と性格を徹底研究。「昨年まで藤井さん(引退)がメッセをうまくリードされていたので、それも参考にさせてもらった。メッセの場合はリズムとテンポを大事にしてあげること。ボールを受けたらすぐに返してあげたりとか、とにかく彼のテンポを遅らせないように意識した」

 試合後、メッセンジャーは「(原口が入団時の背番号)52番をつけていたころから受けてもらっていた。その時からいい捕手。年齢を重ねて経験を積んで、より良い選手になった。いい仕事をしてくれた」と感謝の言葉を口にした。「自信なんてまだまだないし、全然ですよ」と謙遜する原口だが、今後もチームに活気を与え続ける。