【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】がんについての第2弾は「がんと食事」についてです。

 2018年、がんと食事に関連して注目すべき論文が米国で発表されました。がんと診断された1191人の長期にわたる調査では、良質な食事を取っている群で死亡リスクが65%低いという結果でした。ここでいう良質な食事とはアメリカ農務省(USDA)によるガイドラインに準拠したもの。具体的には

 ・果物、野菜、豆を取る
 ・全粒穀物を取る
 ・乳製品を取る
 ・魚からたんぱく質を取る
 ・植物性たんぱく質を取る
 というもの。

 これまで紹介してきた「病気にならない食事法」とも重複した項目は多く、逆に注意したい項目には

 ・塩分を減らす
 ・精製穀物を減らす
 ・飽和脂肪酸を減らす
 とあります。日本人の日頃の食事に置き換えるとすれば、ごはんはできるだけ玄米に、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質、魚、野菜、果物をバランス良く取るということになります。日本では「がんに効く食事」として、一部ネットや書物などで偏った食事法が紹介されていることもありますが、このデータから分かることは極端な食事法よりも、まっとうなバランス食が優れていることが分かります。

 なかなかそこまでバランス良く、食事に気を配るのは難しいという方もいるかもしれませんね。もし「体重が標準体重よりも重い」「最近太ってきた」という方がいらっしゃったら、まずは少しカロリーを控えめにしてみてはどうでしょうか。

 実は肥満が影響するがんは多いのです。肥満がリスクを増やすがんとして結腸がん、肝臓がん、すい臓がん、閉経後乳がん、子宮体がんなどが挙げられます。罹患率で言えば、大腸がんは全体のトップで乳がんは女性の1位。死亡率で言っても、全体の2位が大腸がん、すい臓がん4位、肝臓がん5位といずれも日本においてよく認められ、そして多くの方の命に関係するがんで、リスクを減らすためにも肥満を改善することが大切です。

 とはいえ、ストレスがたまって「甘いものが食べたい!」となるときもあるでしょう。そこはここまでお伝えしているように、バランス良く。「お菓子は週に2回まで」と回数を決めるなどして、頻度を減らすことも有効です。

 ストレスをためることも病気につながります。「がんにならない食事法」、少しずつでも取り組んでいただければと思います。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。