【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情】リハビリのための入院生活では、いろいろな人たちが手を貸してくれますが、医療ソーシャルワーカーについてご存じの人は少ないかもしれない。医療ライター・熊本美加氏が、自らが入院した病院を取材してきました。
リハビリ病院に入院して数日後、体力が戻ってきて、「一人で院内を歩いても大丈夫」と許可が下りました。そこで、早朝の人けのない病院をいそいそと徘徊。気になるものをスマホでパチパチと撮影し、自販機でドリップコーヒーを買って、空いているベンチに座ってしみじみとプチ自由を堪能していました。ちょうど1年ほど前のことです。
ふと見上げると、目の前に「医療福祉連携室・相談室」と書かれたドアが。「何かお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください」と張り紙がありました。病院にはこんな窓口があるんだと初めて知りました。
そこには「医療ソーシャルワーカー(MSW=Medical Social Worker)」と呼ばれる専門職員がいて、病気になった患者さんや家族を支えるための社会福祉的なサポートをしていました。MSWには特別な資格は必要ありませんが、ほとんどが社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を持った方です。社会福祉&医療の知識、さらにリハビリはチームアプローチで行われるので、携わる理学療法や作業療法といった各職種の業務内容についても十分に理解しています。
ちなみにちょっとまぎらわしいのですが、病院によっては「医療コーディネーター」という職種もあります。こちらは患者さんが望む医療を受けられるよう、医師の診断説明をわかりやすく患者さんに伝える調整役。やはり特別な資格はなく、病院勤務の看護師や訪問看護ステーションを運営する看護師、病院・保健所の医療相談従事者などが医療的な相談に対応しています。
さて、医療福祉相談室の存在を知った私は、早速、窓口がオープンする時間を見計らい駆け込みました。「植込み型除細動器を入れたのですが、障害者手帳の申請ってできるのでしょうか?」と聞くと、申請には医師による診断書が必要となるため、各市区町村の「障害福祉窓口」から所定の診断書を取り寄せる必要があるなど、MSWが丁寧に教えてくれました。
リハビリ病院に転院した主治医との初診で、退院する際にいろいろな社会福祉的な準備が必要と判断されれば、その時からMSWが加わります。疾患によって異なりますが最大180日という限られた入院期間内で、退院への準備を万全に整える必要があるからです。
「一人ひとり患者さんにさまざまな心理的・社会的問題があります。それを解決するためには、情報を整理し、個人因子、環境因子を踏まえて、専門的なスキルで支援をしていきます。不十分な調整で退院してしまうと、また再入院するリスクがあります。万全の準備を整えて退院していただけるように努めています」とMSWの西原大助さん(社会福祉士・東京都リハビリテーション病院)。
ちょっと想像するだけでかなり大変そうなミッションですが、次回、詳しく紹介していきます。
☆くまもと・みか 医療ライター。昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。












